047.必勝法と作戦
某三次試験は壁に穴を開けていましたが、今回は……。
「必勝法?おもろいやん、聞かせてもらおか」
「一ノ瀬さん、一時試験の合格条件ってわかりますか?」
「うちをバカにしとるん!?相手の二人組を倒すことやろ?」
「ええ、その通り。ゲームをクリアすれば一次試験は合格です」
「うちの言った通りやん」
「だけど、一次試験不合格の人は、どうなると思います?」
「え?」
「致死量のダメージを受けても死なない設定にしてあると重松さんは言っていたな。元いた体育館に帰れるとは言っていなかったが」
宮坂が口を挟む。
「ええ、どちらかのペアがゲームクリアした場合、元いた体育館に戻れる。だけど、だけどもしどちらもゲームクリアしなかったら?クリア条件を満たさずにこの空間から脱出したなら?」
「!?」
「そんな某三次試験みたいなことが通用するんかいな!?」
どうやら一ノ瀬さんも漫画は好きなようだ。
「重松さんは「ゲームをクリアすれば一次試験は合格」と言いました。だけど、「別の二人組を倒せばゲームクリア。この体育館に帰ってくるようプログラミングしてある。そしたら晴れて一次試験合格だ」とも言いました。この言い方なら、体育館に帰れば合格ともいえますよね?」
「そんな揚げ足取りみたいな」
「もし試験官が作った空間からルールを破って脱出できたならそれはそれで力を試験官に示していると僕は思いますが」
「君の言いたいことはわかった。だが、俺にメリットがあるとは思えない。だって君ともう一人を倒せば一次試験は合格できるのだから。俺が君に負けるとは思えない」
宮坂は僕の完璧な作戦に乗り気ではないようだ。
「……確かに僕ではあなたに勝てないでしょう。だけど、あなたは一ノ瀬さんに勝てるんですか?」
「……っ」
宮坂は黙った。
「その言い方やと、うちにメリットがないように聞こえるんやけど?」
「一ノ瀬さん、あなたは多分この中で一番強い。このまま普通にゲームをクリアできるでしょう。でも僕の方法でもクリアできる。なら、争わず、体力を恩人できる方を選んだ方が得策じゃないですか?」
「ほんとにその方法で一次試験は合格になるんかいな」
「勝算は十分にあります」
「よっしゃ、ええやろ、泉の案に乗ったろやないか!そっちの方がおもろそうや」
「私ももちろん賛成よ!そっちの方法の方がいいわ。私も杏ちゃんも合格できるんだもの」
「さて、賛成多数ですね、宮坂先輩?どうします?」
「……本当に脱出できるんだろうな?」
「任せてください」
「ちっ、乗ってやるよ」
「それで杏ちゃん、肝心の方法は?」
「一ノ瀬さんと宮坂先輩に協力してもらおうと思ってね」
「協力?私は?」
「翔子は今回何もしなくていい。宮坂先輩、一ノ瀬さんちょっときてください」
「ふん、くだらない話だったら俺は降りるぞ」
「はよ作戦聞かせーな」
「いいですか……」
ゴニョゴニョと二人に作戦を伝える。
「はっはっは!!泉、自分サイコーやな!」
「……まあそれなら納得だ」
「え?え?どうするの?」
除け者の翔子が珍しくオドオドしている。
ちょっと可愛い。
「この空間を吹っ飛ばすのさ」
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