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042.雨とワープ

 やっぱり今日は大雨だった。

テレビをつけると、警報は出ていないが大雨注意報が出ていた。

全くなんでこんな日に一次試験を設定したんだ。

まあ天気なんてコントロールできるものではないか。

それに雨は嫌いじゃない。


 家を出るともうすでに翔子と麗花が待っていた。

「おはよ杏ちゃん」

「……おはよう」

前者は翔子で後者は麗花。

そして、

「おっはよう杏介!」

「…なんで快斗もいんの?」

「え、そりゃ試験受けに行くからに決まってるっしょ?」

決まってるんだ。

快斗と待ち合わせを約束した覚えはないが。


「どうせ杏介も受けて一次試験の資格とったんじゃねーかなって思ったっしょ」

まあその通りなんだが。

「ちなみに快斗は測定値はどれくらいだったんだ?」

「178っしょ」

おいおい、僕らより高いじゃねーか。

もしかしてせっかちなだけで快斗って相当センスあるのか?


「さ、行くっしょ!」

いつの間にか快斗が先導役となって昨日の会場に向かう。

正確には電車に乗るために駅に向かっている。

雨が強いので会話はほとんどなかった。

僕は道中みんなの傘の色を見ていた。

翔子は白。

麗花は青。


 傘の話ね。ほんとに。


 快斗は緑。

僕は黒だった。


 電車を降り、昨日の試験会場へ向かう。

さすがの快斗も少し緊張しているのか会話がなかった。

「俺雨って嫌いでよー、外で遊べないじゃん?ジメジメして嫌いっしょ」

どうやら緊張しているのではなく雨が嫌いなだけだった。


「みんなもう着くよ。ほら、青翔高校の前に人立ってるじゃない」

ほんとだ。

あれは……重松さんだ。


「ピクニックみたいだね。泉……だったよね、みんな一次試験を受けに来たのかな?」

「そうに決まってるっしょ」

「ではカードを提示してくれ」

僕たち4人はカードを重松さんに見せる。

「よし、ではどうぞこちらへ。体育館で待っているように」

そして重松さんは少し改まって、こう言った。



「ようこそ教会試験へ。あなた方で46人目です」



 体育館は結構広かった。

僕らの通っている開智高校の倍はありそうだ。

今は12時55分。

後5分で試験開始時刻だ。

僕たちが体育館についてからも続々と人が訪れ、100くらいになっただろうか。

当たり前だけど、高校生じゃない人もたくさんいる。

この中のどれくらいの人が試験のリピーターなのだろうか。

そんなことを考えていると、

ジリリリリとベルがなる。


「ではこれより教会試験を開始する。今回試験官を務める重松隆、教会技術主任だ」

2回目の挨拶だった。


「今回は156人集まってくれた。まずは集まってくれたみんなに感謝する」

なんだ、結構真面目な人なのか。

「俺は技術といってもプログラミングの方が得意でね、今からみんなを4人ずつ俺が作ったゲームの空間に飛ばす」

とんでもねーことを言い始めた。

真面目な人だと思ったのに。

「ゲームをクリアすれば一次試験は合格というわけだ」

主任クラスになるとこれだけの人数を別の空間に飛ばせるのかすげーな。

「どんなゲームなんですか?」

珍しく快斗がかしこまって質問する。

「俺がランダムに受験者同士で二人組を作る。別の二人組を倒せばゲームクリア。この体育館に帰ってくるようプログラミングしてある。そしたら晴れて一次試験合格だ」


 ふむふむ。

つまり誰かとペアになって別のペアを倒せば一次試験突破というわけか。


「さて、前置きが長くなったな。では、「ゲーム」、空間処理」

そう重松さんは言い、両手を伸ばす。


 僕たちの体は光に包まれる。

重松さんのいうゲームの世界へとワープするのだろう。


「一次試験、検討を祈る」

某ハンターのゲーム開始時みたいだな。

僕はそう思いながら目を閉じてワープを待った。

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