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039.試験と測定

いろんな試験がありますが、どの試験も緊張しますよね。

 僕は雨が嫌いではなかった。

雨の音を聞くのも好きだったが、何より外出をしないのでねぇちゃんが本を読み聞かせてくれるからだった。

6月6日、つまり教会試験当日である今日も、小雨が降っていた。


僕は家の前でぼーっと雨のことを考えていると、

「おーい、杏ちゃん、お待たせ」

と翔子がきた。

教会試験に行くために待ち合わせをしていたのだ。

「まった?」

「いや、全然?ていうか僕の家の前待ち合わせなんだから待つってほどでもないだろ」

「それもそっか、あとは」

「今が待ち合わせの時間ちょうどよ、私は遅れてないわ」

と、麗花がやってきた。

いや、別に遅いなんていってないのに。

どうやら麗花は時間には正確な人のようだ。


「さ、行きましょ」

「ってどこに行けばいいんだ?」

「もー、杏ちゃん何にも調べてないの?ちゃんと下調べしないの杏ちゃんのよくないところ!会場は隣町の廃校なのよ」

「廃校?」

「そう、もともと青翔高校ってところ、10年くらい前に廃校になったけどまだ校舎は残ってるの。今回の会場はそこよ」

今度は麗花が説明してくれる。

なるほど、学校が会場なのか。

試験会場としては確かに適切な場所だ。


「さ、行きましょ。電車に乗らなきゃだし、遅れるなんてもってのほかよ」

「待ってよ、絢辻ちゃん!」

麗花が先んじて、それに続いて僕と翔子が歩みを進める。

不思議なことに試験前だが心は落ち着いていた。


 20分ほど電車に揺られ、試験会場がある隣町にたどり着いた。

おいおい。

「めっちゃ人多くないか?」

「そりゃそうよ。全国から教会試験に向けて人が来る日だもの。多いに決まってるわ」

「杏ちゃん、はぐれないようにちゃんとついてきてね」

僕の親か。

とは思いつつも本当に逸れては困るので離れず二人について行く。


 青翔高校にはもうすでに1000人以上はいるだろうか。

たくさんの人が集まっていた。

現在12時50分。

場所はグラウンド。

試験開始まであと10分。

当然だが遅れないようにみんな早めにきているのだろう。


と、聞き慣れた声が耳にはいる。

「ふーっ。あぶねぇ。遅刻するところだったっしょ!」

ふむ。

せっかちそうだな。

まあ、試験が始まったらまた声をかけてやろう。

どうせ顔を合わせることになるのだろうから。


「では教会試験の説明を始める」

一際大きな声で誰かが説明を始める。

え、エントリーシートとかないの?

「一次試験、もとい、一次試験を始めるために君たちをふるいにかける」

へ?

「杏ちゃん何ぼーっとしてるの?全員がいきなり試験を受けられるわけないでしょ?」

え、そういう感じ?

どこぞのハンター試験みたいな感じか。

試験を受ける前に何か必要なわけね。


「俺は重松隆。教会技術主任を務めているものだ。説明は一回しかしないからしっかり聞くように」

場所が廃校ということもあって高校入試みたいな説明の仕方だった。

「みなさんには各教室に分かれて、測定器に向かって教科の力を使用してもらう。測定値に上限はない。測定値が100を超えたものには一次試験を受ける資格を与えよう。100以下のものは測定が終わり次第帰っていただく」

天下一武道会かよ。


「はーいはーい、質問!教科の力をどうやって発揮すればいいんだ?詳しい説明が欲しいっしょ!」

せっかちめ。

だが詳しい説明が欲しいのは僕も同じなので、こういう時は頼りになるやつだ。

「各教室に一人づつ入り、測定器に向かってなんでもいい。教科の力で攻撃しろ。その力の強さで数値が出る」

了解。

要はある程度の強さがないと試験すら受けられないよってことね。


 僕たち3人は周囲の動向を見つつ、列に並んだ。

もちろんあのせっかち君は一番に並んでいた。

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