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029.山頂とリベンジマッチ

 山頂で僕はぼーっと雲を見ていた。雲か……。

小室先生すると、小室先生の声が響く。


「今年、影に囚われなかったのは2人か。絢辻はともかく、海崎はまあまあだな」

「やっぱり小室先生は影のこと知ってたんですね?」

「当たり前だ。生徒の安全を守るのが教員の仕事でもあるからな」

「だからって説明ないとびっくりしますよ。大雑把すぎます!」

「すまん、すまん。だがみんな影と戦うっていういい体験ができただろ?」

ようやく山頂に来た翔子と話していた小室先生はみんなへ向かって話す。


「合宿では自分の「教科」をもっと深めてもらおうと思う。下山した後も寝る時間まで自由に教科を試してもらって構わない。そのための網代山だからな」

「晩飯は?どうするっしょ!?」

「自分でなんとかするんだ」

大雑把ここに極まれり。

凄まじい計画性のなさだった。

流石のせっかち快斗も言葉を失っている。


「では23時には宿舎に戻ってこい。点呼をとって、寝る。質問はあるか?ないな、では解散!」


 えぇ……具体的な指示はほぼなかったが、自分は自分で鍛えろってことだろうか?

そんなことを考えていると、翔子が足早に近寄ってくる。

「おう、翔子!影に捕まらなかったのか!すごいじゃんか」

「……うん、まあ、ね」

なんだ?

どことなく翔子の返事に元気がない。

「何かあった?」

「……実は……」


「きょーうーすーけ!」

快斗だった。

おい、神妙な空気だったろ。

ちゃんと空気をよんで会話に入ってきてくれよ。

「リベンジマッチするっしょ!」

「リベンジマッチ?」

「ほら、俺ら1-Bに負けたっしょ?負けたままだと気分が悪いから戦い挑みに行くっしょ!」

戦闘民族もびっくりの考え方だった。


「快斗が負けたのは峯岸ってやつだろ?挑むなら一人で行きなよ」

「何言ってんだよ、杏介も二谷も負けたんだから一緒に行くっしょ」

「……え、僕も!?」

快斗は無理矢理二谷も仲間に引き込んでいた。

快斗は結構強引だがこれはこれで憎めないやつなのである。


「ってわけだから海崎!ちょっと杏介借りてくぜ!」

人をもの扱いするな。

「うん、貸してあげる。いってらっしゃい」

翔子までか。

「わかったよ。ついていけばいいんだろ?一人でいけない快斗のためにいってやるよ」

「杏介だって峯岸に負けたっしょ?人のこと言えねーっしょ」

それはそうだが。


「おーい、峯岸!リベンジマッチっしょ!3対1で勝負っしょ!」

1-Bのみんなと降りようとている峯岸に躊躇なく声をかける。

「君は……1-Aの菅原だね。いいよ。ただ流石に3人は分が悪いな」

「なんだ?ビビってるっしょ!?」

チンピラみたいな快斗がそこにはいた。


「いや、客観的事実を述べたまでだよ。ふむ、おい、倉本、ちょっと付き合ってくれ」

「はぁ、ななな、なんで私があんたと、つつつ、付き合わなきゃなんないのよ!?それに順序ってものがあるでしょ!?」

「何を言っている。こいつらが戦いたいと言ってきた。3対1だと流石に気が引ける。なので倉本を誘った。それだけだ」

「な、なーんだそういうこと!紛らわしい言い方しないでよね!」

僕はここまでの会話を聞いてなんとなく倉本という人の性格を察した。

「いいわ、やりましょ!私も翔子ちゃんに負けて悔しかったもの!リベンジマッチよ!」

どうやら察した通りの性格らしい。

翔子はメンバーにはいないけど、まあいいか。


「じゃ、俺、杏介、二谷対峯岸、倉本で勝負っしょ!」

「オーケー、じゃあ5分後に始めよう」


 ちょっとワクワクしている僕がいた。


「バッジがないから、死なないようにお互い高め合うんだぞ」

横から小室先生の声がする。


 そうだ、バッジねーじゃん!

それは致命傷から体を守ってくれるものがないことを示していた。

どうしよう。

僕のワクワクは縮小していったが、快斗のワクワクは明らかに拡大していた。

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