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025.幽霊と影

化け物の正体見たり枯れ尾花。

 幽霊は信じるタイプだった。

小さい頃から絵本を読んでいたから、空想の生き物がいたら面白いな程度ではあったが。

目の前にいる幽霊は影のように黒く、ぼんやりとしていた。


「みんなをどこへやった?」

っていうかそもそも言葉通じるの?


 幽霊と思しきものは、言葉を発さない。

どうやら言語を持ち合わせていないらしい。

目の前のそれはみるみるうちに姿を変える。

……これは……僕……か?

色は薄黒く、半透明のままだが、僕の容姿そっくりに姿を変えた。


 目の前で何が起きているのかわからないが、とりあえず、先手必勝だ。

「水の東西」

僕は噴水を手に、幽霊、いや、目の前の僕に攻撃を仕掛ける。


「……………」


 バシャンと、水が弾けるような音がして、僕の噴水は相殺された。

見ると、幽霊も噴水を操っていた。

なるほど、僕のゴーストなら使える技も同じってわけね。

オーケー。

それならそれでやりようがある。


「羅生門」

「……………」


 同じように二つの門が出現する。

ふむ。

これなら、攻撃はできないけど、攻撃はされない。

どうやら、僕が使った技をそっくり真似ているようだった。

僕が次の手を考えていると、突然、幽霊が門をすり抜けて、僕に絡みつく。


「くっ」

読み間違えたか?

同じ動きしかしないと思った僕が馬鹿だった。

だけどな、幽霊の正体くらいは教えてもらうぜ。


「幽霊の正体見たり枯れ尾花!」

……どうだ?

ニュアンスは微妙に違うが、正体不明の敵ならこれでわかるはず。

さあ、正体をあらわせ!


 僕のような姿は原型を止めることができず、半透明の黒いぼやになる。

これが、幽霊の正体?

予想が、確信に変わった。

「影」だ。

誰かが教科の力を使って影を操って攻撃しているんだ!


 敵の正体が判明したにはしたのだが、影を作り出した相手がどこにいるかはわからない。

影は僕を宙へ浮かせ、そのまま移動を始める。

???

なんだ、影の動きの意図が読めない。

空中で身動きが取れず、考えることしかできない僕は影に運ばれるがままだった。


 運ばれること数分。

影がフッと姿を消した。

ここは、山頂?


「泉、思ったより早かったな」

山頂で出迎えてくれたのは小室先生と消えたクラスメイトだった。


「これはどーゆうことですか?」

「言っただろ、なるべく遅く登ってこいと」

「つまりあの影は小室先生が作り出したものってことですか?」

「ほう、幽霊の正体は見極めたというわけか。だが、違う。私ではない」

じゃあ誰なんだよ。


 見渡すと、ほぼ一年生は全員山頂にいた。

いないのは、翔子と、麗花もいないな。


「おー杏介!遅かったっしょ!」

「快斗か、君も影に連れられて山頂に着いたの?」

「影?幽霊のこと?」

「ああ」

「そーだよ、俺がどれだけ早く走ってもついてきてよ、逃げられず囚われてきたっしょ」

そりゃそうだろう。

影は僕と同じ力を使ってきた。

快斗も影で攻撃を受けたなら、同じ力を使っているはずだから。

どれだけ早く移動しようが同じスピードなら逃げ切れるはずもない。


「あとは、海崎と絢辻だけだな。全員揃ったら君たちを運んできた幽霊の説明をして下山する」

「知ってたなら先に教えてくれよー。びっくりしたっしょ」

「それでは君たちの教科の力が育たんだろう?」

不敵に小室先生は微笑んだ。

なるほど、登山も勉強ってわけね。

僕は1人で納得して、翔子と麗花が到着するのを待った。

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