152.起床と修繕
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「泉、その寝ている教会社会主任を起こしてくれ」
「いや、僕その人と面識ないんだけど！？それに結構なダメージくらってるっぽいんだけど」
「っははっ！大丈夫だよ。その女はちっとやそっとじゃ死にゃしねーよ」
「……毎回思うけど平ってなんでも知ってるんだな」
「買い被りすぎだぜ。俺は三つ編みの委員長じゃねーんだ。知らねーよ。二階堂を知ってるんだから、その師匠のことを知っててもおかしくはねーだろ？」
師弟関係だったのかよ。
ということは白鳥社会主任は弟子に負けたのか。
なんか可哀想。
「何変な顔してんだよ。ほら早く起こせ」
「平がやってよ」
「俺は異教だぞ？教会主任に声をかけようもんなら殺される勢いで襲ってくるかもしれねーじゃねーか」
え、そんなに怖い人を僕今から起こさないといけないの？
「あ、あの、白鳥先生？」
横たわっている白鳥先生の肩をトントンと叩く。
……反応はない。
「白鳥先生？」
もう1度トントンと叩く。
……反応はない。
「白鳥先生！」
「聞こえているのだけれど？それに女性に気安く触れるのはどうかと思うのだけれど。あなたも歴史の重みを知りたいらしいわね」
「い、いえ…遠慮しておきます」
っていうか起きてたんなら最初の呼びかけで反応してくれよ。
「泉、杏介君だな？」
「はい」
「天野先生から聞いている。有望な新人が入ったとな」
え、そんな風に言ってくれてるの？
まじ？
「悪いが私はもうしばらく動けそうにない。二階堂君の異能の力がまだ残っているような感じね」
「そうなんですか？」
「そうだと言っているのだけれど。「公害」。恐ろしいほど汎用性が高い力ね」
「そ、そうなんですね」
「状況を説明してほしいのだけれど」
「えーと、なんていうかその」
「ったく。泉じゃ埒が開かねーよ。おい、教会社会主任さんよ」
「その声、聞き覚えがあるわね。二階堂君と仲良くしてた子でしょ」
え、白鳥先生が知ってるってことは平ももしかして……。
「んぁ。俺が誰かなんてどうでもいいだろ。あんたがぶっ壊した中尊寺金色堂をなおしてほしいんだよ。あんたの教科の力ならできるだろう？いや、できないとは言わせねーぞ。歴史の重みを知ってるあんたがな」
「とても腹立たしい言い方ではあるけど、私が壊したのは間違いないわね。私がなおせるのも間違いないわ。ただもう少し待ってくれる？そうね、私が動けるようになるまでは」
ほんとになおせるんだ。
やっぱ主任ってすげーんだな。
でも歴史の重みを誰よりも知っていそうな白鳥先生が建造物である中尊寺金色堂をも巻き込んだ攻撃をしたのは少し腑に落ちないな。
そんなことを考えながら僕たちは白鳥先生の回復を待った。
