151.刀と取引
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「木然さん、あなたが手に持っているそれ、譲ってもらうわけにはいかないっすかね?」
「仮にじゃが、わしがそれを拒否した場合にはどうなるのかの?」
「今は別に教科異能刀をもってこいという命令は出てないっす」
「じゃから?」
「だからといって目的のものが目の前にあるのに手ぶらでは帰れないっすよね」
「じゃから?」
「なんとしてでも手に入れるっす」
「まあそうなるじゃろうな。ほれ、持っていきなされ」
「……へ?」
「何惚けた顔をしとる?持っていけとおっておる」
「奪う気満々だったっすけどね」
「中尊寺金色堂を粉々にしてしまうお主と戦う気などないわ」
「壊したのは白鳥センセであって僕じゃないんすけどね。ありがたくもらっていくっすよ」
二階堂が木然のから刀をとる。
「ふうん。これが教科異能刀っすか。なんか普通の刀って感じだけど」
「わしからは何も言わん。ほれ、用事は済んだんじゃろ?早く帰りなされ」
「そんなに急かして、何かわけでもあるんすか?」
「考えてもみなされ。日が昇ればまた中尊寺金色堂は観光客で溢れかえる。それまでに修復せねばなるまい」
「……それもそうっすね。あ、平さん」
「んぁ?なんだよ?」
「なんで教会の人間と一緒にいるんすか?」
「いいだろ別に。そんな事は。一緒にいようと一緒にいまいとどっちだって同じ事だ」
「相変わらずよくわからない人っすね。まあ指令が出てないんで僕はどうしようとも思わないっすけど。校長には内緒にしときますね」
「ああ、よろしく頼むよ」
「それじゃ、そこの教会の人も。またどこかで」
フッと、一瞬にして二階堂という異教社会主任は消えていった。
しかし、目的の教科異能刀をとられてしまうとは。
「んで、爺さん。本当のこと言えよ」
「おい、どういうことだよ平?」
「教科異能刀の噂が本当なら、教科の力がこの世界にある根源ってことになるんだぞ。そんな大事な刀を守ってる人間が易々と渡すとは思えねーんだよ」
「た、確かに」
「わしは持っていきなされとしか言うておらん」
「っははっ!やっぱりくえねー爺さんだぜ。なあ爺さん、取引しねーか?」
「……取引じゃと?」
「まあ、さっきのあんたの話を聞いてるとだな、中尊寺金色堂を元に戻したいんだよな?」
「……まあそうじゃの」
「爺さん1人でできるのかよ?」
「…………」
「そこでだ、俺らが完璧に元に戻してやるよ」
「おいおい平、そんなことできるのかよ?」
「まあ泉、落ち着けって。どうだ爺さん?」
「それでわしは何をお主らに提供するんじゃ?肝心のそれを言っておらんじゃろう」
「防御壁と教会異能刀の情報をくれよ。さっきの爺さんの態度を見て、もし教科異能刀を持ってたとしても渡さないことはわかった。だから、「情報」をくれよ」
「ふん。どちらがくえない人間なんじゃか。良いじゃろう。じゃが先に中尊寺金色堂をなおしてみせい」
「っははっ!交渉成立だな」
平は口が非常にうまいのかもしれない。
世周りが上手いというべきかもしれないが。
「それで、どうやってなおすんだよ?平の教科の力を使うのか?」
「んぁ?もっと適任がいるだろ?」
「適任?」
「ここにいる、いやこの世界で誰よりも歴史の重みを知ってる奴がいるだろう?」