150.法隆寺と中尊寺金色堂
150まできたっすねぇ。
「……まだここで気を失うわけにはいかないのだけれど」
「諦めも肝心っすよ?センセ。せっかく僕がかっこいい決め台詞言ったんすからもう倒れてください」
「私が倒れたら誰が二階堂君を止めるの?」
「止める?センセは僕がここに何をしにきたかもわかってないっすよね?」
「異教の考えることだ。悪いことに決まっている」
「……僕はただ下見に来ただけなんすけどね」
「そんなのはなんでもいいのだけれど。あまり教会の主任を舐めないでくれる?」
「なんすか?」
「何回も言っているのだけれど。……歴史の重みを知りなさい」
「そんな状態で何を」
「法隆寺」
ものすごい衝撃とともに地震が僕たちを襲う。
「なんだなんだ!?」
「地震か!?俺たち地下にいるんだぞ?生き埋めになっちまうぞ」
僕たちは木然さんから情報を聞き出すことを諦め、中尊寺金色堂の地下にいた。
教科異能刀を探すために。
「おい泉!なんか防御できる力を使え!」
「え?」
「崩れる!!」
「羅生門!!」
間一髪、僕たちは上から降ってくる木片を羅生門で防ぐ。
……え?
上から?
僕たちは地下にいるのに?
「っははっ!なに不思議な顔してんだよ。ほれ周りを見てみろ」
平に言われ、羅生門をとき、周りを見渡した。
「……は?」
僕たちが歩いてきた地下への入り口というもの自体が存在せず、バカでかい落とし穴のような空間に僕たちがいることがわかった。
粉々になった中尊寺金色堂と思われる木片と一緒にだ。
「何が起こったんだよ?」
「多分教会社会主任がやったんだろ。上から中尊寺金色堂ごと押しつぶすようなことしなきゃこんなことにはならないぜ?」
「……相変わらず手加減ってものを知らないっすね。歴史の重みを知りなさいってセンセが建築物壊してどうするんすか。ってもう意識はなさそうっすね」
「二階堂、お前がやったのか?」
「平さん。まさか、この僕のダメージの受け方を見てそんなこと言うんすか?ひどいもんっすね」
平然と話す平と、二階堂と呼ばれる異教の社会主任。
向こう側には倒れている女性。
あれが白鳥社会主任なのだろう。
会話から察するに、白鳥主任が捨て身の、言葉通り最後の一撃を放ち、中尊寺金色堂ごと破壊。
地下に空間があったため木片もろとも沈んだって感じか。
なんて破壊力なんだよ。
それをくらって生きてる異教主任もすごいが。
「君たち、なんて事してくれるんじゃ」
「お、木然さんっすね?情報は入ってるっすよ。教科異能刀を守ってる人っすよね?」
「……さあ?わしからはなんとも言わん」
「地下にこんな大きな空洞があることからもここに何かあることは明らかっす。っていうか、その手に持ってるのが「教科異能刀」じゃないっすか?」
言われて木然さんの方を見ると、さっきまでは何も持っていなかったはずの木然さんは確かに帯刀していた。
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