148.重みと霊感
白鳥 明日香・・・教会社会主任。179cm。専門「日本史」
二階堂 智 ・・・異教社会主任。149cm。
「口酸っぱく伝えていたのだけれど」
「何をっすか?」
「歴史の重みを知りなさいと。大阪城」
「くっ……!!」
「よく避けたね。手加減したつもりはないのだけれど」
「随分と昔から知ってるっすからね。歴史上の建造物を具現化して相手を押し潰す、その異能。相変わらずすごい迫力っすね」
「避けておいてよく言うよ。それに大阪城は築城されてからまだ500年も経っていない」
「……知ってるっすよ。1580年くらいっすよね?大阪城ができたのは」
「博識じゃないか」
「これでも異教の社会主任なんでね」
「二階堂君は歴史はあまり好きではなかったと記憶しているのだけれど?」
「そうっすね。社会の分野の中では嫌いな方っす。でもセンセを攻略するには歴史上の建造物の知識は必須なんで」
「ほう?私を攻略とはなかなか口が達者になったものね。でも私が君に言うべきことは変わらないわ」
「歴史の重みを知りなさい。姫路城」
「……!?おいおい、なんだよあれ!?」
「っははっ!お前んとこの白鳥ってやつの異能だろ?」
10分の1くらいのスケールの城がまるでハンマーのように振り下ろされている。
この中尊寺金色堂もろとも破壊する気か!?
だけど、何かおかしい。
その「何か」に気づいた時、僕は戦慄した。
そう。
あんな物量のものが振り下ろされたら衝撃音がするに決まっている。
なのに一切、本当に一切衝撃音がしないのだ。
「っははっ!だから言ったろ?二階堂はつえーんだよ。ほら、巻き込まれないうちに地下に行くぜ」
「あ、ああ。って地下にはどうやって行くんだよ?」
「そんなの、ほら。あれだよ。案内人がいるとか?」
意外と頭がまわるやつだと思ったのは撤回しよう。
ノープランじゃねぇか。
「さてお前さんたち。この中尊寺金色堂に何用じゃ?」
「「!?」」
2人の戦いに気を取られていたからか、声をかけられるまで、その人物が近づいていることにすら気がつかなかった。
でもなぜだ!?
僕たちは今、幽霊になっている。
普通の人間には見えないはずなのに。
「思うとることに答えてやろう。わしは木然。君たちの言葉で言うとこの中尊寺金色堂の住職といったところか。まあ正確には違うがの。そんなわしが霊的存在を見えてもおかしくなかろう?」
霊感あるタイプの人間か……。
教科の力とは関係ないところに位置する人間なのだろうか?
しかも思ってることバレバレだし。
僕ってそんなに顔に出るタイプなのかな。
「まあ霊的存在になっているという表現の方が正しかろう。さて、質問を繰り返す。お前さんたち。この中尊寺金色堂に何用じゃ?」
「っははっ!そんなの決まってんじゃん。木然さんとやら。俺たちは「教科異能刀」を探しにきた」
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