144.ラーメンと金色堂
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「僕はラーメンは味噌が好きだ」
「俺は醤油だな。味噌って味が濃すぎないか?」
「何言ってんだ。醤油の方が濃いだろう?味噌は味噌の味がするから美味しいんだよ」
「それって味噌が好きなだけじゃないのか?タイヤが好きだから車が好きみたいなもんじゃねーか」
「そうじゃないさ。麺と味噌が合うんだって。そういう平は背脂醤油みたいなラーメンは嫌いそうだな」
「よくわかるな。俺は純粋な醤油ラーメンが好きなんだ」
何を基準に純粋なんだよと聞こうとしたが、逆に何を基準に味噌ラーメンなんだと聞かれても答えられないので聞くのをやめた。
自分が答えられないことを人に聞くべきではない。
純粋にわからないことを聞くときは別だが。
「もうこうしてラーメン屋で何時間もくっちゃべってるわけだが、そろそろ目的地へ行かないか?どんぶりに麺はないけどスープはもう冷え切ってるぞ」
「んぁ。そうだな。そろそろ行くか。奢ってやるよ」
「助かる」
「貸し1な」
「じゃあやめとく。自分で払う」
「っははっ!予想通りの反応で何より。この世で貸しをつくることより怖いことがあるだろうか。いーやないね」
「いやもっと色々あるだろ」
「流石に夜は寒いな」
「あたりめーだろ。10月なんだからな。泉、行く前に事前知識を聞いておこう。中尊寺金色堂についてどのくらい知ってる?」
「ん?えーと、そうだな。中尊寺にある御堂ってことくらいしか知らない」
「なんだよ。修学旅行とかでも事前知識は入れて行かない派なのか?人生損してるぞ」
「僕は新しい知見を楽しむタイプなんだよ」
「それは結構なことだがこと戦闘においてそれは致命的だぞ。いいか、俺が聞いてるのはそんな表面上の情報じゃねーんだよ。俺が待ち合わせ場所に中尊寺金色堂を選んだってことからもう教科異能刀のある場所はわかるだろ?」
「そりゃ中尊寺金色堂だろ?」
「そう。その通り。だが正確じゃないな。正確には中尊寺金色堂の「地下」にあるのさ」
「地下?」
「俺の仕入れた情報ではな。御堂の地下に教科異能刀を祀る洞窟があるんだってよ」
「ふぅん。その情報どっから仕入れたの?」
「主任会を盗み聞いた」
「悪いやつだな」
「これでも異教なもんでな。悪いやつだよ、俺は。しかもその主任会はほぼ主任が出席してなくてな。知ってるやつは少ないはずだぜ」
「どういうことだよ?主任会なのに出席率が少ないって」
「いちいち全部の会に出たがるやつは稀ってことさ。まあ毎回欠かさず出るやつもいるんだけどな」
「それって社会人として失格じゃないのか?」
「社会人にもなってない泉に言われたくねーよ。ほら、そろそろ着くぜ」
平に言われて前を見るが、正直よくわからない。
暗すぎる。
時刻は23時55分、雨は降っていない。
「なあ、暗すぎないか?」
「しっ!誰かいる。おかしいな俺の仕入れた情報ではもう誰もいないはずなんだがな」
「誰かいるってこんな時間に誰が?」
「……っははっ!土屋風に言えば、おいおいおいおい、そりゃねーぜ。なんで異教社会主任がこんなとこにいるんだ?ってとこか」