139.協力と平泉
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「安心しろ。手を組むってことは友達になるってことじゃねぇ。協力するってことだ」
平はやけに静かにそう言った。
「俺はお喋りは好きだが友達ってやつは作れねーんだよ。ましてや異教の俺と教会の泉が友人関係なんてちゃんちゃらおかしいってもんだ。そうだな天野風に言うなら、協力関係と友人関係は意味が全く異なるのです。助け合いと馴れ合いが違うように。って感じか」
天野先生がそんな回りくどい言葉使うか?
ていうかこの口ぶり、平は天野先生とも面識がありそうだ。
顔が広すぎやしないか?
「何黙ってんだよ?お喋りしようぜ。電話なんだ。表情が読めねーから口調で泉の気持ちを読み取らないといけないんだ。黙られちゃなんもわからねーぞ?」
「ああ、悪かったよ。次からは間からも心情を読み取ってくれ」
「っははっ!やっぱり泉はおもしれーやつだな」
「まあ覚悟は決まったって感じだよ。それで?僕と平で教科異能刀を探すんだろ?」
「ああそうだ。もっと言うと泉が知りたがっている防御壁についても確信に迫ることになるだろうな」
こいつ……なんでも知ってるのか?
「俺は間からでも心情を読み取れるのさ」
こえーよ。
「わかったよ。教科異能刀っていうのはどこにあるか目星がついてるって言ってたな?どこにあるんだ?」
「っははっ!電話なんかで言えるかよ。そいつは直接会ってからだ」
ふむ。
案外に用心深いらしい。
「それもそうだな。じゃあ直接会うか。どこにいけばいい?」
「んぁ?土屋風に言うなら、おいおいおいおい、俺と泉が会う場所はどこかだって?そんなの決まってるだろ?ってとこか」
決まってんの?
全然察せないんだが?
「平泉だよ」
平泉。東北位置するその場所は幾分か地理が苦手な僕でも知っている。
日本史でもその名前はよく聞くし、今では観光名所にもなっている。
そんな人が多く訪れる場所を平は再会の地として提案した。
10月10日0時、平泉の中尊寺金色堂で。
いやそこは10時にしろよと突っ込みたかったがそんな元気はなかった。
結局僕は情報を仕入れるため、強くなるために平と手を組むことを選んだ。
目下の問題は、
「杏ちゃん!!!なんで電話に出ないの!?どうして私に何も言わずにいなくなったの!?今どこなの!?何してたの!?」
幼馴染からの電話にどう対応するかってことだった。
パッと僕のスマホが取り上げられる。
「おう杏介は俺を助けに来てくれたっしょ!」
「その声は……菅原君?杏ちゃんと一緒にいるのね。それに助けてくれたって?今どこにいるのよ?」
「俺もよくわかんねーんだ。でも杏介は助けにしてくれた。やましいことなんか何もねーよ」
「べ、別にやましいこととかそーいうのじゃなくて、私は単純に杏ちゃんが心配で」
快斗がニコッとこちらに笑顔を向けてくる。
ナイスアシストだ。
証言者がいると現実味が増す。
「ってわけだから僕はなんもしてない!明日にでも家に帰るから手料理でも作ってくれよ」
「え!?もーっ!私は杏ちゃんの専業主婦じゃないのよ!?」
「わかってるって。でも翔子の料理美味しいじゃん?」
「しょ、しょうがないわね。明日の晩御飯は一緒に食べましょ。早く帰ってきてね!」
「はいはい」