132.紋章と竹筒
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「ふんふん。その浮き出た正三角形がどうした?その泉くんを囲っている図形と違って盾や壁というようではなさそうじゃの」
その通りだ。
ふよふよと透明な図形、正三角形が浮いているだけだ。
「あっしはアニメも好きでござるがゲームも好きでね。とあるゲームでは三角形を重ねた紋章を大事にしていたりするんでござるよ」
「だから?」
「あっしの図形は「力」を与えるんでござる」
ピコンと、ケンの右手に浮いていた正三角形が宿る。
まるで手の甲に浮かび上がる紋章のように。
「ふんっ!」
ものすごい音がして財前がクリエイトした壁が崩れる。
ケンが壁を殴ったのだ。
「なっ……。わしの防御壁が!?ただのパンチで壊れるほどわしの力は弱くはないぞ?」
「正三角形は「攻撃」を高める図形でござる。今のあっしのパワーは並じゃないでござるよ」
「クリエイト。槍」
「正方形!」
ガキンガキンガキンッ
「驚かないんでござるね」
「……わしを誰じゃと思うとる?異教情報主任じゃ。「攻撃」を上げる術があるということは「防御」を上げる術があってもおかしくはないからの」
「じゃあ「素早さ」が上がってもおかしくもなんともないでござるねっ!二等辺三角形!」
……僕はというと2人の攻防を守られた空間の中から見ているしかなかった。
いやほんとは参加したいんだけどね?
菱形十二面体から出れないし。
と、せめても戦いの様子を目で追っていると、ケンが目くばせしてくるのが見えた。
……わからねぇよ!?
この状況で僕に何をしろと。
ハンドサインでも事前に決めておけばよかったか?
親友の僕にもケンの目くばせの意味は分かりかねた。
「ふんふん。随分と動きのキレが落ちているようじゃが?」
「……はぁはぁ。そりゃあっしだけ動いてるでござるからね。あんたはクリエイトって言って教科の力を使ってる開けじゃないか」
「どんなゲームでもな、チートキャラというものは存在するんじゃ。今のわしのようにな」
「確かに今のあんたは無敵だろうよ。でも次の一手で状況は一変するでござるよ!」
「やってみろ」
バリンッ!
「……え?」
僕を覆っていた菱形十二面体がまるでガラスが砕けるかのような音を立てて崩れ落ちた。
「五芒星!」
星の印が僕の額に浮かび上がる。
「さあキョウ!いくでござる!星の紋章は全てのステータスを上げるんでござるよ!」
ケンめ、さっきの目くばせはこれのことだったんだな?
「自分にその紋章を刻めばいいものを。味方にバフをかけおって。いくらバフをかけようがわしが君らの動きを追いきれんとでも思うか?」
「あっしにはあっしの役目があるでござるからな。それにそうは思わないでござるよ。だからあっしがかけるんでござるよ。呪縛をね」
「六芒星!」
「ぐっ……!?」
「動けないでござろう?五芒星はステータスアップ、六芒星はステータスダウンに加えて動きを封じるででござる。わかってるよ。あっしたちよりあんたの方が強いってことは。だからあっしの力じゃほんの数秒しか動きを止められない。でもそのほんの少しで十分でござる」
「水の東西。ししおどし」
竹筒が、財前の腹を突き抜いた。