131.クリエイトと菱形十二面体
菱形十二面体。皆様も検索してみてくださいませ。
財前は防御壁を作っている。
この事実は揺るがない。
だが、僕は知っている。
本物の防御壁には天野先生がなんからの形で関与していると。
国語の教科の力で修復できることも知っている。
つまりだ、財前が作り出している「壁」は防御壁を模して作り上げたものではないのか。
仮に模した壁であれば十二分に壊すことが可能なはずだ。
「ふんふん。逃げ惑う者を追うのは嫌いではないの」
「知ってますよ。何せあんな学校という閉鎖的空間に僕らを追い込むくらいですからね」
「逃げられたこともないがの。クリエイト。防御壁」
シュンと僕の前に壁が立ち塞がる。
「ちっ!!」
「クリエイト。防御壁」
今度は後ろに。
「!!しまっ……!」
「遅い。クリエイト。防御壁」
左と右にも防御壁が立ち塞がる。
囲まれた!!
「ふんふん。壁は相手の動きを制限することもできるということじゃ。そして」
「!!」
「クリエイト。移動壁」
壁が、迫ってくる。
「四隅から、壁に押しつぶされるんじゃ」
「台形!」
ガキィィンという音が響いて迫り来る壁が動きを止める。
「あっしもいるのを忘れてもらっては困るでござるよ」
「ふんふん。なかなか面白い教科の使い方じゃの。じゃがなんでも作り出せるわしの下位互換ではないのかの?」
「そんなのやってみないとわからないでござるよ。実際にあんたの壁の進行を食い止めることができてるじゃないか」
「「壁」はの。クリエイト。槍」
おいおい反則だろ!?
クリエイトって言えばなんでも具現化するのかよ!?
「菱形十二面体!」
半ば投げやりになろうとしていた僕の思考回路を留めてくれたのはケンの声だった。
いや、正確に言えば、ケンが迫り来る壁と槍から僕を守るために作り出された菱形十二面体が僕を囲ったことだった。
僕を中心にして菱形の集合体が光り輝いている。
「キョウ、一旦体勢を整えるでござるよ」
「……わしのクリエイトしたものを止めるとはなかなかの力じゃの」
「確かにあんたはなんでも具現化できるかもしれないでござる。でも教科の力は思い入れがあればあるほど強くなる。なんの思い入れもなく作ったあんたのものよりあっしの「図形」への思い入れの方がよっぽど強いでござる!」
「そりゃわしがクリエイトすることに思い入れがないとでも言っておるのか?思い入れがないと情報という教科を選ばんよ」
「確かにあんたはどんなものでも作ってきた、プログラミングもしてきたんだろう。でもそれはあんたの世界での話でござる。この世界はそんな1人に都合良くできてはいないでござるよ。神は二物を与えないんでござる」
「……だからなんだ?」
「譲れないものが一つあれば十分なんでござるよ。あっしでいえば「図形」でござる」
「正三角形!!」
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