116.ネットと暗転
それでは第7幕、ごゆるりとお楽しみください。
男子高校生の朝は遅い。
なんなら今日は学校には行かないと決めていたので起きたのは9時だった。
ふーむ。
僕は食パンを食べながら昨日仕入れた防御壁に関する情報を見返す。
やっぱりメール送ってみるのはまずいかなぁ?
天野先生にバレたら怒りはしないものの蔑んだ目で見られそうだ。
ねぇちゃんに相談してからにしようかな。
悩んだ挙句取った行動はケンに連絡することだった。
こういう時1人で行動する勇気がないのが僕だ。
まあ、慎重なのはいいことなんじゃないかと最近は諦めている。
ケンにメールするとすぐに電話がかかってきた。
「メール見たでござるよ!面白そうじゃないか」
「面白そうって……。僕は防御壁の情報を仕入れたいだけだよ」
「まあまあ、学校にいないってことは家だろ?すぐ行くでござるよ」
「え。お前学校にいるんじゃないの?」
「そうでござるよ。でもやってみたいじゃない。途中で学校抜け出すの」
「後で怒られても知らねーぞ?」
「慣れっこでござるよ。じゃ30分後に」
そう言うと電話は切れた。
30分後、いや正確には39分後、家のチャイムが鳴る。
「いやぁ、先生に言い訳してたら足止めされちゃって、ちょっと遅れたでござるよ。申し訳ない」
「いや、来てもらってるんだから謝んないでくれ」
「ちょうど英語が始まる前でさ」
英語ということは毛利先生か。
あの人なかなか勘が鋭いからな。
もしかしたらケンの言い訳も見破られてるかもしれないな。
「それで?本題に入るでござるよ」
「ああ、これだよ」
僕は例のサイトを見せる。
「これは……まあ悪戯でござろうな」
5秒もみないうちにケンが言う。
「なんでそんなことわかるんだよ?」
「いいでござるか?ネットには信憑性のない情報がいくらでも転がってる。「脱」なんて文字がついてる時点で信憑性はゼロでござるよ」
僕もだけど「脱」って文字に対してあたりがキツくないか?
だが剣のいうことはまあまあ信用に値する。
もともとオタッキーなケンはネットの扱いにも長けているからだ。
「それで悪戯ならやっぱりメールは送らない方がいいのか?」
「悪戯だからこそ送ってみるというのもアリかもしれないな。もちろん捨てアドで。まあウイルスに感染する危険性の方が高いでござるが」
「よくわかんないけど送らない方がいいことはわかったよ」
「ただ、防御壁についてよく思ってない人間が作ったサイトというのは確かだと思うよ。ほら、某殺人ノートのサイトも考えに同調する人間が作ってたし。そういう意味では話を聞くためにメール送ってみたら?」
ふむ、一理ある。
「じゃあ送ってみるか」
「まあすぐに返事が来るとも思えないでござるがな」
僕はサイト最下部のメアドを確認して、メールを送る。
「送信っと」
瞬間、パソコンの画面が暗転する。
「……え?なんだ、壊れたか?」
ビーッビーッ!!
僕が不審に思っていると、画面が赤く点灯し、文字が映る。
ようこそ、脱防御壁へ
今度は僕の視界が暗転した。
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