102.タイミングと出発
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「で、なんで警察なのにカツ丼が余るんだよ?」
「取り調べといえばカツ丼でしょ?毎日作るんだってさ。でもそんな長時間取り調べる人なんて毎日いないからカツ丼が余るらしいよ」
いや、オーダーされてから作れよ。
なに?
北海道警察ってそんな感じなの?
「警察で教会か。ずいぶん正義感が強いんだな」
「まあ信用できる人ではあると思うわよ。それで杏ちゃんの方の用事は?」
「あ、そうだった」
僕はスマホを確認する。
図ったかのように着信音が鳴る。
「もしもし。天野です」
「タイミング完璧ですね。どこかで見てるんですか?」
「私はそこまで暇ではありません」
いや、絶対嘘だ。
「それでどのような用事ですか?」
「はい、もう北海道には着きましたね?宗谷岬という場所があります。そこに行って防御壁の様子を確かめてほしいんです」
「確かめるって?」
「行けばわかります。横にいる海崎先生に同行してもらうと良いでしょう」
この人ほんとに千里眼が使えるじゃないだろうな?
なんで翔子が横にいること知ってんだよ。
「わかりました。また報告します」
「お気をつけて」
「ってわけだ。翔子、一緒に来てくれるか?」
「もちろんよ。ってわけだって言われても私なんのことだかわからないけどね。滝澤先生に承諾を貰ってくるわ」
翔子はトタトタと走っていった。
しかし、防御壁の確認か。
確認してどうするんだろう?
僕に直せるとも思えないけど。
だいたいそんなものがあることをつい最近まで知らなかったし。
ふと、ポケットに手を入れると紙切れが入っている。
平が入れたものだ。
気が変わるまで待ってるぜ。俺と泉で真実に辿り着くんだよ。ここに連絡くれ。
こんなメモとともに電話番号が書かれていた。
……真実って?
教科異能刀のことだろうか?
それとももっと大きな何かだろうか?
僕と手を組むメリットは?
まあ当分は連絡することはなさそうだな。
この時点ではそう考えていた。
「杏ちゃん!オッケーだって!なんなら案内してやってくれ!って滝澤先生言ってたよ!」
「お、そりゃ助かる!早速いってみるか!」
僕は翔子より何分か遅れてカツ丼をたいらげ、出る準備を整えた。
「やっぱ北海道って寒いな……。長袖でもゾクゾクする」
「当たり前じゃない!京ちゃん緯度とか軽度とか日本の気候を学校で習ったでしょ?」
「そんなの北海道は寒い、沖縄は暑いくらいしか覚えてないよ。宗谷岬って場所も聞いたこともなかったし」
「宗谷岬って北海道の最北端にあたる場所よ。つまり日本の最北端ってわけ」
ふむふむ。
だから防御壁がそこの近くにあるってわけね。
面倒ごとがないといいなぁ。
そう思いつつ、僕は翔子と教会北海道支部を出た。