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009.噂と4人目

 三日目以降は事件は起きなかった。

ねぇちゃんが目覚めることはなかったし、何者かと目が合い、バトることもなかった。

強いて言うなら、教科の時間に「国語」で何ができるのかを試している時に

「その声は我が友李徴子ではないか」

と言って、快斗が一瞬虎になったぐらいだ。

めっちゃ怒ってた。

ていうか虎より怖かった。


 4限目、数学の時間。

文系脳の僕には退屈な時間だったので、ここ二週間を振り返りながらぼーっと誰かが当てられ、答えるのを聞いているとチャイムがなる。

「やっーっと飯っしょ!杏介!」

馴れ馴れしく快斗が近づいてくる。

「…距離感が近い!くっつくな!」

ここ最近は快斗と一緒に昼飯を食べている。

僕は落ち着いて食べたい派なので最初は嫌だったが、今はそんなに気にならない。


「そーいや来週は「見せ合い」っしょ?杏介の教科はどんな感じ?」

「どんな感じって…ふつーだよ、最初とあんま変わってないよ」

「うーそーつーけー!俺を虎にしやがったっしょ?」

「あれはじーこだって!謝ったじゃないか」

「試してたんっしょ?自分がどれだけ教科の力をつけてるか、わざとなのバレバレっしょ」

バレバレだった。


 やれやれ、翔子だけではなく快斗にまで嘘を見破られるとは。

何か嘘をつくときの癖でもあるのかな。

そんなことを考えていると、

「俺の見立てでは4人!」

「4人?」

「うちのクラスで教科の力が強いやつ!杏介に翔子、それと…」

「それと?」


「二谷っしょ」

「にたにた?誰それ?」

「にーたーに!さっきの数学の時間当てられて答えてたやつだよ。眼鏡で背の小さいやつ。ていうか杏介の後ろの席っしょ?」

僕は名前や席を覚えるのは苦手だった。

ちなみに翔子の席は窓際の最前列。名前は一発で覚えた。ちなみにだが。


「…それで?どんな教科使うんだよ?」

それがよくわかんねーんだよなぁ。なんかボウガンっぽい感じの」

ボウガン…か。

単純に考えるなら理科か?いや、弓矢と考えるなら社会の歴史ってのもありそうだ。

国語や英語で弓を具現化するよりもそっちの方が可能性高そうだな。


「…ん?ちょっと待て、4人って言ったよな?後1人は誰だよ?」

「決まってるっしょ!」

快斗は堂々と自分を指さした。



帰りは相変わらず翔子と一緒だった。

一緒にねぇちゃんのお見舞いに行くのも日課だった。

「…今日もお姉さん目を眠ったままだったね」

「そんなに簡単によくは…ならないさ」


「そうだ、来週は「見せ合い」だね!」

帰り道、わざとらしく翔子が明るい声で話し始めた。

「ああ、昼も快斗とその話してたよ。まあまあ楽しみだ」

楽しみなのは事実だった。

「教科」の時間は異能を色々試せるが、クラス別に授業をするから他のクラスの様子は分からなかった。

まぁ、他のクラスに友達1人しかいないっていうのもあるが。

っていうかそれが分からない原因だった。

「んで?その見せ合いがどうしたんだ?」


「…ふっふっふー、こーんな噂があるの知ってる?」

翔子が溜めて喋り始めるなんて珍しいこともあるもんだ。

「見せ合いでは、毎日の「教科」の時間みたいにじゃなくって他のクラスに自分の力を披露するでしょ?」

「うん、そう聞いてるけど」

「披露っていうのは程のいい言葉で、実際はクラス同士で戦うみたいな感じになるんだってさ」

「…ふーん」

僕は某試召戦争を頭に浮かべた。

「まーた別のこと考えながら私の話聞いている!杏ちゃんのよくないところ」

「わるいわるい」

悪いとは思っている。ほんの少しだけだけど。


「でねでね、見せ合いを見てる人がいてね、教科レベルを測るんだって!」

どこぞの学園都市か。

「そんなん都市伝説レベルの噂でしょ?信憑性ないって。だいたい誰から聞いたんだよ?」

「私は杏ちゃんとは違ってたくさん友達がいるんですー」

「はいはい、噂ね、う・わ・さ」

「ちゃんと聞いてよっ!でねでね、この話には続きがあるの」

「どんな?」

「教科の力が強いとスカウトされるんだってさ」

「…どこにだよ?」





「「教会」か「異教に」だよ」

背後からの声に、僕と翔子はハッと振り向く。

そこには眼鏡で小柄な男子生徒が立っていた。

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