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シオンの役目

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 これはベルグリンデにもありがたい提案だった。最初に断ったのは条件を吊り上げるためのフェイクだったのだ。結果として条件は据え置きになったが、シオンは自分の力で契約を勝ち取ったと思っていた。


 しかし、本当は違う。ベルグリンデは王国に近い場所に拠点が欲しかったのだ。今、傭兵がこぞって出払っているのは王国と商業連合が争っているからなのだ。


 以前までは帝国と王国、そして商業連合がいがみ合っていた。しかし、帝国と王朝が戦争状態に入ったのだ。ここで王国と商業連合はそれぞれ考える。今は帝国に攻め込む好機ではないのかと。


 しかし、自分たちが帝国を狙えば残ったもう一方の国から横腹を突かれる。それならば帝国が動けない今の間にもう片方を潰そうと考えたのである。


 その結果、残った二国が互いに戦争状態へと入ったのだ。二国揃って帝国を攻めれば良かったものを、と誰もが思っただろう。ただ、傭兵としては仕事が多くて嬉しい限りだ。


 ベルグリンデとしては王国もしくは商業連合に近いところで拠点が欲しかった。物資の集積が可能な拠点が。だが、王国内や商業連合内には置きたくない。あくまでまだ第三者で居たかったのだ。


 そこにシオンが話を持ち掛けてきたのである。無料で拠点を築きつつ、王国とも商業連合とも近い。そんな上手い話が降って湧いたのである。これは乗らないわけがない。


「じゃあ、若いのを三十名ほど送らせてもらおうかねぇ」

「助かる」

「なに。持ちつ持たれつさ」


 これで全軍で出兵したとしても山賊や盗賊程度なら傭兵たちが退治してくれる。傭兵としても山賊退治は美味しい仕事なのだ。弱いくせに財宝を貯め込んでいるケースが多いからである。もちろん、例外はあるが。


 これでシオンの帝都での役目は終わりである。流石に一度に二つの傭兵団を誘致する体力はバレラードにない。大人しく帝都を離れても良かったのだが、シュティ大公家に顔を出す義理は持ち合わせていた。


 突然の訪問にはなってしまうがそれは致し方ない。シオンが欲したのは訪問したという結果だけである。会えたかどうかは二の次だ。


「シオン=バレラード准男爵である。シュティ大公閣下にお目通り願いたいたい」

「しょ、少々お待ちください」


 門番に貴族の証を見せて名乗りを上げる。少し戸惑いながらも門番は屋敷の中に入っていった。なぜ戸惑ったのか。それは貴族ともあろう人間がたった一人でシュティ大公家を尋ねてきたからである。


 しかし、残念ながらシュティ大公は外出中であった。家宰のゴードンがシオンの対応に当たる。流石に門前払いは不味いと思ったのか、屋敷の応接室の一室にシオンを通した。


「突然のご訪問でございますな」

「何分、貴族になったばかりで家臣が揃ってないものでね。大金を貰って悠々自適な生活を送れると思っていたんだが」


 ゴードンが先触れの一人くらい早めに寄越せと遠回しな嫌味を言ってきた。なのでシオンはシュティ家が承諾した金額を用意してくれたらこんな目に合ってなかったのにと返す。


 シオンもだいぶ貴族に染まってきたようだ。これを良しとするか、悪しとするかはわからない。


「これは痛いところを突かれました。して、本日は何用で?」

「せっかく帝都まで来たのだから寄らせてもらっただけだ」


 そう言って出されたワインを煽る。そして給仕におかわりを注ぐよう、顎で合図を出した。ゴードンとしてはそれだけの用ならばさっさと帰って欲しいところである。


「左様ですか」

「そうだ。聞きたいことがある」

「何でしょう?」

「この国から傭兵が居なくなっている。どこに向かったかわかるか?」


 シオンも元は傭兵だ。彼の方が傭兵への造詣は深い。傭兵が一気にいなくなる時は戦が近い時だ。つい、この間まで帝国と王朝の戦争に参加していた傭兵が今は影も形もなくなっているのだ。


 つまり、どこかで戦争があるのだ。ただ、帝国ではないことは確かである。もし、帝国が戦火に見舞われようとしているのなら、もう少し傭兵が居てもおかしくないのだ。


 既に王侯将相が傭兵を囲っていたとしても無能な傭兵は余るはずなのだ。しかし、その気配が一向にない。つまり、他方で戦が起きる、そんな煙が上がろうとしているのだ。


「存じ上げませんな。傭兵の一挙手一投足を私が把握しているわけがないでしょう」

「いーや、お前は知っている。少なくともグレンダは知ってるはずだ。何故ならば王朝攻めの時にシュティ大公家は傭兵を雇っていたからだ」


 家令を通さずに傭兵を雇うことはできるだろうか。もし、家長であるデュポワが傭兵を雇うと決めた場合、手配するのは家令のゴードンだ。


 グレンダが雇うと言っても予算を握っているのはゴードン。つまり、自腹を切る以外にゴードンを通さないで傭兵を雇うことはできないのである。


「知っていたとしても言う義理はございません」


 ゴードンはシオンに良い感情を持ち合わせていない。それもそうだ。あれだけの買い物額を押し付けられているのだから。ただ、シオンはゴードンから無理に情報を聞き出そうとはせず、大人しく身を引いた。


「そうか、邪魔をした」


 なぜ大人しく身を引いたのか。これ以上押しても無駄だと察したからである。また、何かが起きたということだけは理解が出来た。それだけが理解できればシオンには十分なのだ。


「さて、答え合わせと行きますか」


 シオンは答え合わせのために席を立つ。次に向かうは与しやすいクリュエの居る辺境伯の地だ。

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