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三十六計逃げるに如かず

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 兵士の訓練をしていてシオンは思う。全員の顔つきが格段に良くなったと。それもこれも実戦を経験させたからに違いない。そこでシオンは彼らに先程の手紙の内容を告げることにした。


「皆にはあらかじめ伝えておきたい。これから戦になる。そのお触れがシュティ大公から届いた。良いか、周囲が自分を守ってくれると思うな。戦うときは常に一人だ。殺される前に、殺せ」


 誰かがゴクリと喉を鳴らした。シオンは今まで集団行動や仲間との連携を叩き込んでいた。だと言うのに、周囲を頼るなと言い始めたのだ。これはどういう意図か。


 簡単なことである。戦場という非日常で今まで通りの実力を発揮できると思っていないのだ。この前の盗賊退治がそれを物語っている。彼らにはまだ早かったのだ。


 それならば自分だけが生き残ることを第一にさせようと方針転換したのだ。幸か不幸か数名は人を殺すことを覚えた。生き残るには相手を殺すしかないのだ。


「今日からはみっちり一対一を鍛えてもらう。弓兵たちもやって損はない。まずは個々の戦力を上げてもらうぞ。まずはアレンとゲイナー」


 そう言ってシオンは一人ずつ名前を呼びあげる。そして全員が見守る中、一対一を始めさせたのだ。両名とも槍を構える。と言っても先端の丸く羊毛でおおわれている練習用の木槍だが。


「始めっ!」


 アレンとゲイナーが槍を振るう。そして数合打ち合い、ゲイナーが勝利を収めた。ここからがシオンの訓練の真髄である。今の模擬戦を全員で講評するのだ。


「アレンがゲイナーに勝つためにはどうするべきだった? また、ゲイナーの良かった点はどこだ?」

「ゲイナーは長い手足を有効に使っていたと思います」


 そう答えたのはオルグである。シオンはまずオルグをほめる。そして、そのオルグに対し、さらに詳細に深掘るための質問を追加した。


「そうだな。オルグの言う通りだ。ゲイナーは長い手足を有効に使っていた。では、オルグ。お前ならどうやってゲイナーに勝つ?」

「え?」

「見せてみろ。次、ゲイナー対オルグ!」


 シオンは二人を対峙させる。両者ともに槍を構えた。さてどうするか。シオンは自分が手足の長い相手と対峙した場合を想定して考えてみた。


 まず、第一に手足が長いということは切り返すまでに時間がかかるということである。しかも得物が槍なので、懐に入ってさえしまえば勝ちは固い。相手が素人ならばの話だが。


 なので紙一重で躱して返す刀で斬り殺す。これが最初に思いついていた。しかし、素人には真似のできない芸当である。ならばどうするか。次に考えるのは槍の先を潰す。これに限る。


 穂先を切り落としてしまえば槍の攻撃力は大幅に減少する。とはいうものの、穂先を切り落とすことは難しい。


 なので、穂先を使い物にならなくするのだ。盾を使うのは有効だと思う。もしくは更に遠距離で仕留める。


 ちなみに槍の達人は懐に入られても強い。柄を上手く使うのだ。槍術は棒術でもあるのだ。シオンも日本に居た時は祖父の友人である槍術の達人に苦しめられた苦い経験を持っていた。


 そんなことを考えているとゲイナーがオルグの首筋に槍を当てていた。これは勝負ありである。シオンは思考を振り払い、号令をかける。


「はい、そこまで! オルグ、ゲイナーに勝てると思っていたか?」

「……いえ、思ってませんでした。勝ち筋が見えてませんでした」

「そうか。そういう時はだな、一目散に逃げろ」


 そういうと全員が目を点にしてシオンを見つめていた。それもそうだ。自分の兵に逃げろと言う領主など皆無なのだから。しかし、シオンは真剣だ。


「勝てないのなら戦う必要はない。いいか、大事なのは『生き残る』ことなのだ。勝てないならば勝てる状況を作り出せ。オルグ、お前が勝てないと思うのであればオレに助太刀を願うんだったな」


 そんなのありかよ。そんな顔をしていたがありなのである。戦場にルールは無いのだ。最後まで立っていた人間が勝ちなのである。


「ま、今は稽古だ。逃げるのは禁止だが助っ人は許す。ゲイナーも大人数に囲まれたときに対処法を学んでおけ。よし、稽古を続けるぞ!」


 こうして、シオンは戦までの残された時間を兵士三十名の技術のレベルアップ、戦場での立ち回りに費やすことにしたのであった。

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