17 S級冒険者VS魔王軍8
ベティの放った魔法は、まるで的を外していた。
火弾は空を切り、炎柱はまったく見当違いの地面を焦がす。
いくら炎の魔神となって攻撃力が増したといっても、当たらなければどうしようもない。
「くっ……な、なにが……どこにいる……っ!」
焦りと苛立ちが、彼女の動きを鈍らせているようだ。
ますます攻撃が当たらなくなる。
「あなたの心に入り込んだ時点で、勝敗は決していたの」
ティアが冷たく告げる。
その姿を、ベティは捉えられていないようだ。
完全にティアの幻術が、ベティの上を行っている――。
俺は感心して彼女の戦いぶりを見ていた。
「【幻夢牢獄】」
空間がねじれる。
黒いモヤがティアを包みこむ。
「その牢獄はお前の精神力が尽きるまで、お前を包み続ける」
「ふざけるな……! アタシが、こんな……こんなもんで……っ!」
そう言いながらも、ベティの足止まった。
「うおおおおおおおおおおおおおっ!!」
「……っ!?」
ティアの目が見開かれる。
黒いモヤの中心から、爆発するような炎の魔力が噴き出した。
ごおおおおおおおおっ!
天に届くほどの巨大な火柱が立った。
「こ、これは……!」
ティアが初めて動揺を見せた。
「精神世界を……自らの精神力で焼き払っている……!? そんなことをすれば、自分の精神が崩壊するはず――」
完全に黒いモヤを焼き尽くしたベティが、歩みを進める。
「アタシの『奥の手』――見せてやるよ!」
こいつ、魔力を暴走させている……!?
俺は眉を寄せた。
「舐めた真似されて黙ってられねーからな……アタシも死ぬが、お前も死ぬ……道連れだぁっ!」
自爆技か――。
「ちっ……」
ティアが後退するが、ベティは身にまとう炎を噴出力に変えて突き進んだ。
「来るな……っ!」
ティアが矢継ぎ早に幻術を放つ。
が、ベティはいくら精神に干渉されても、己の精神ごと術を焼き尽くしているようだ。
自身の精神がすべて消滅するのが早いか、ベティの炎がティアに届くのが早いか。
これは極限の勝負だ――。
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