15 S級冒険者VS魔王軍6
「次は誰が出る? S級冒険者といえど、我が魔王軍には敵わないということを教えてやろう」
俺は残る三人のS級冒険者たちを見渡し、不敵に宣言した。
「何度でも――お前たちが全滅するまでな」
その瞬間だった。
どんっ!
爆風を巻き起こしながら、一人の女が進み出た。
金髪のツインテール。肩まである赤いローブ。腰には爆炎の刻印。
そしてなにより――その眼には、猛火のような闘志が宿っていた。
「S級十九位、【爆炎術師】ベティ様、参上ってね!」
豪快に笑い、地面を踏み鳴らす。
地面がばきっ、と音を立てて割れた。
火炎魔法の使い手であり、魔術師でありながら、その身体能力は並の戦士を凌駕する――。
「このアタシが相手してやるよ、魔王軍!」
勝ち気に叫ぶベティ。
が、その強気な態度は不安の裏返しだろう。
何せ、目の前で二人のS級が立て続けに撃破されたのだから。
「次はお前か」
敵の戦力を少しずつ削りながら、こちらの幹部で迎え撃つ。
「魔王様、ここは私が」
名乗り出たのはティアだった。
黒のドレスの裾が、長い黒髪が、風でゆるやかに揺れる。
「ふぅん……? ただの魔族じゃなさそうね。あんたも魔王の側近?」
「ティアマトよ」
ティアが静かに告げる。
「この魔力の気配は夢魔? 言っておくけど、幻術とか精神攻撃とか……アタシには効かねーからな!」
ベティが指を鳴らす。
次の瞬間、
ごおおおっ!
巨大な火球がティアに向かって飛んだ。
不意打ちの先制攻撃!
S級の中には騎士道精神にあふれ、常に正々堂々と戦う者もいるが、ベティはそういうタイプではない。
勝てばなんでもいい――その精神のもと、あらゆる手段を使って勝ちに来る。
巨大な火球が突き進み、ティアを飲みこもうとする。
その寸前で――。
ふっ、とティアの姿がかき消えた。
「なっ――どこ行った!?」
「……ここよ」
ティアがベティの背後で告げた。
おそらくほとんどの人間や魔族には、今の動きは見えなかっただろう。
ティアが幻術を使い、姿をくらませながらベティの背後に回り込んだのだ。
夢魔である彼女の本領は、ここから発揮される――。
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