11 S級冒険者VS魔王軍2
髑髏の剣士と最強の武闘家の戦いが、幕を開けた。
ごおおおおっ!
目の前で炎が弾けた。
ジェットの拳が摩擦熱によって炎を発し、空気を震わせながらメルディアへ突き進む。
「むっ……!」
メルディアが剣を振るい、軌道をずらそうとした。
ガギィィィンッ!
弾かれたのは剣のほうだった。
「なっ……!?」
衝撃に耐えきれず、メルディアが大きく後退する。
「遅えよ!」
ジェットは追撃の手を緩めない。
拳を地面にたたきつけると、衝撃波が地表を砕きながら突き進んだ。
それに巻き込まれて吹き飛ぶメルディア。
「なんというパワーだ……!」
しかし、彼女もさすがに魔界有数の剣士だ。
ひらりと空中で回転し、体勢を立て直すと、すぐに突進して距離を詰めた。
「はああああっ!」
繰り出す斬撃が嵐のように叩きこまれる。
ジェットの身のこなしも相当のものだが、それでも防ぎきれない。
接近戦での技量は、おそらくメルディアが上だろう。
だが、ジェットの鍛え上げられた肉体の前では、まともなダメージを与えることすらできない。
剣は、ことごとくが彼の鋼のような肉体に弾き返されていた。
「くっ、このままでは――」
メルディアの声に焦りの色がにじむ。
彼女がスケルトンではなく美少女の姿だったら、顔中に汗がにじんでいたところだろう。
「終わりだな」
ジェットが拳を握りしめ、踏み込んだ。
体重を込めた渾身の一撃――。
まともに食らえば、骨でできたメルディアの体など砕け散るだろう。
一発で戦闘不能だ。
「……まだだ!」
バチッ! バチバチィッ!
そのとき、突然空気が震えた。
ジェットの拳が放たれた瞬間、メルディアの体が赤黒い光に包まれる。
「……なんだと?」
ジェットが警戒するように動きを止めた。
その隙に、メルディアは後退して距離を取る。
「ボクは……誰よりも強くなる! 魔王様よりも! だから君なんかに負けられない!」
メルディアの声が響くと、彼女の姿が変わった。
骸骨の体が揺らぎ、金色の髪を伸ばした可憐な少女の姿へと。
「なっ……!?」
驚愕するジェットの前で、メルディアの剣が黒いオーラを纏う。
「さあ……ここからが本当の戦いだね!」
彼女の剣が黒い雷光を帯びる。
強大な魔力が吹き荒れ、周囲の空気がピリピリと帯電していた。
勝負の行方はまだわからない――。
俺はメルディアの戦いぶりを固唾を飲んで見つめていた。
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