10 S級冒険者VS魔王軍1
ほどなくして、前方から五つのシルエットが現れた。
「魔族ども! このS級8位【炎槍】のライラが相手よ!」
槍を手にした女騎士が叫んだ。
「おっと、お前一人に手柄は立てさせんぞ。S級10位【閃光の拳】ジェットも混ぜろよ」
巨漢の武闘家がニヤリとする。
「おいおい、なら俺だってやるぞ? S級15位【水流魔導】のグラットがな」
「同じくS級19位【爆炎術師】ベティもいるわよ!」
「S級20位【剣仙】ガールヴ見参! 私も参加させてもらおうか!」
いずれも見知った顔だった。
「ふん、そろいもそろって――」
俺はニヤリとする。
五人のS級冒険者が最前列に並び、その後ろには数万単位の兵士が陣取っていた。
まとめて吹き飛ばしてやるか、それとも――。
「魔王様、ボクにやらせてよ」
進み出たのはメルディアだった。
美少女モードではなく骸骨剣士の姿だ。
ただ、黒く落ちくぼんだ目の奥に爛々とした光があって、戦いの喜悦にあふれていることは見て取れた。
「先鋒の戦いぶりは軍の士気に直結する。必ず勝て。いいな?」
俺はメルディアに任せることにした。
「やったー! ありがと、魔王様!」
メルディアがぴょんと跳ねる。
美少女姿ならともかく骸骨剣士の姿でやると、ちょっと不気味だった。
「我はメルディア。命が惜しくない者から、かかってこい」
メルディアが厳かに告げた。
普段の口調ではなく、俺と初めて出会ったときの――厳めしい口調だ。
「スケルトンかよ。雑魚が」
言いながら進み出たのは巨漢の武闘家だ。
「下級魔族のスケルトンごとき、俺一人で十分だ」
メルディアは単なるスケルトンじゃないし、下級魔族でもないんだが――外見だけで思い込み、決めつけるとは、なんという浅はかさだろう。
「あいかわらず単細胞だな、ジェット……」
俺は小さく苦笑した。
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