6 メルディアの根源
「そんな……ボクがこんなに弱いはずがない!」
メルディアは剣を手に突っこんできた。
が――遅い。
いや、俺の能力が上がっているのか?
――馴染んで、きたのか?
俺の体は魔族のものだし、魔力も前の魔王から受け継いでいる。
けれど、魂は人間だ。
魂と肉体、そして魔力の不一致が起きている――?
それは以前から考えていた仮説だった。
けれど、魔王に転生して数か月が経ち、俺の魂と魔族の体や魔力は徐々に『一つのもの』として馴染み、融合を始めた。
そう感じる。
以前よりも自分の体が自分のものだと確信できるような――そんな感覚がある。
「【光弾】」
俺は基本的な魔法を放ってみせた。
魔王の俺にとって最下級といっていいランクの魔法だが、
どごぉっ!
その爆圧にメルディアは大きく吹き飛ばされる。
「きゃあっ……」
地面に叩きつけられ、悲鳴を上げるメルディア。
「今のを防ぐことも避けることもできないとは……戦闘要員としては不足だな。いっそ、俺の夜伽でもするか?」
ニヤリと笑って挑発してみせる。
「ふざけ……ないでよっ……!」
メルディアが怒りの声を上げた。
「ボクは、戦士だ! 最強を目指す戦士なんだ!」
「誰よりも強くなりたい。そして強く在りたい。それがお前の根源か」
俺はメルディアを見据えた。
「ならば、俺はお前にとって『乗り越えるべき壁』だ」
「……!」
「今ここで――超えてみせろ」
「魔王様を、超える――?」
メルディアが呆然とした顔になった。
「どうした? 考えたこともなかったか」
「……ううん。いつの間にか、そこから逃げていたのかもしれない」
メルディアが首を左右に振った。
「ボクの根源は――戦士であること。誰よりも強さを、高みを目指すのが本来のボクなんだ。なのに、魔王様の強さを間近で見続けて、その気持ちを見失ってた」
剣を、構えなおす。
「見失いかけてた。でも、もう一度向き合ってみせる」
「なら、挑んでこい。俺はお前にとっての絶対の壁となって立ちはだかってやる」
「なら、ボクはその壁を乗り越える――!」
叫んで、メルディアが突進した。
さあ、勝負だ。
本気の――な。
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