5 メルディアの闘志
「メルディア、お前は武人として俺に屈服し、忠誠を誓ったんだったな」
「えっ? あ、うん。そうだよ~」
どうにもノリが軽いな。
それが単なる性格的なものならいいが、俺に対する忠誠が軽いということなら問題だ。
「だが、俺からすれば、お前が優れた武人だからこそ忠誠を受け取った、ということになる。魔王軍の幹部に無能は必要ないからな」
「……それって、ボクが弱いって言いたいの?」
メルディアの表情が変わった。
「魔王様の腹心にふさわしくない、と? なら――確かめてみる?」
ごうっ!
彼女の全身から黒い瘴気が炎のように湧き上がった。
「……なるほど、忠誠を誓ったとはいえ、覇気は十分のようだな。俺に対してもその闘志――」
ヴンッ……!
俺は右手に黒い魔力の剣を生み出した。
「お前と出会ったとき以来だな……久しぶりに手合わせしてみるか?」
「手合わせ? いいね~」
メルディアの瞳が鋭く輝く。
「俺に勝ったら、魔王の座をお前に譲ってやる」
「……何それ? ボクに負けるわけない、って言ってるように聞こえるけど?」
「そう言ってるんだ。お前ごときに俺が負けると思うか?」
「いくら魔王様でも言っていいことと悪いことがあるからね」
メルディアの全身から、さらに黒い瘴気が吹き上がる。
いいぞ、これなら彼女の全力を引き出せそうだ。
「後悔させてあげるっ!」
言うなり、メルディアが飛び出した。
全身から吹き上がらせていた瘴気を右手の剣に集中させる。
「これがボクの必殺剣――【冥燐鳴月斬】!」
黒い斬撃が俺に襲い掛かる――。
ばちぃっ!
その一撃は俺の前面ではじけ散った。
俺自身は微動だにしていない。
「その程度か?」
「えっ……」
メルディアは呆然とした様子で立ち尽くした。
「思った以上に弱いな、メルディア。いや、俺の力がそれだけ高まっているのか――」
「嘘……そんなはず……ない……」
最大の一撃を破られたメルディアは大きなショックを受けている様子だった。
ちょうどいい機会だ。
こいつに『殻』を破ってもらうとしよう。
来たるべき戦いのために。
メルディアには主要戦力の一人になってもらわなくては困る。
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