10 答え合わせ
「へえ、なるほどなるほど……」
ゾルナーダは俺を見つめ、満足したようにうなずいた。
「魔力だけじゃなく胆力も中々高そうだね。一歩間違えば破滅する局面で、よく言いきったよ」
奴の眼光がさらに鋭くなる。
こいつ――。
俺は奴の次の言葉に備え、全身をこわばらせた。
奴が次に何を話すのか――。
その内容によっては、俺は破滅するだろう。
「思わせぶりなことを言ってごめんね。僕なりに推理はしているけど、それは憶測の域を出ない」
ゾルナーダが苦笑した。
「前王が殺されたとして、それが誰なのか――僕も確証は持っていないよ」
「……何?」
「ちょっと冗談が過ぎたかな」
「前王を冗談のネタに使うのは感心しない」
「だね。詫び代わりにアイゼラからは手を引くよ」
俺の言葉にゾルナーダは軽く頭を下げた。
――宣言通り、ゾルナーダはあっさりと去っていった。
俺としては『助かった』といったところか。
確証はないと言っていたが、おそらくゾルナーダは俺が前王を殺したことを十中八九確信していたんじゃないだろうか。
そのうえで、百パーセントの確信が得られないから、とりあえず今回は去った――。
俺にはそう見えたのだ。
「油断のならない奴だ……」
「――魔王様」
ティアが俺に歩み寄る。
「どうした?」
たずねつつ俺は身構えていた。
さっきのゾルナーダの言葉が引き金となり、ティアが俺を『前王殺しの犯人』として糾弾してくる可能性もなくはない。
少なくともティアが俺を疑っているのは確かだろうから。
「アイゼラを得たことですし、次の行動のご指示を」
が、ティアは先ほどの話題には触れず、そう促してきた。
「ゾルナーダの言ったこと、お前は気にならないのか?」
俺の方から話題を振ってみる。
「お前にとっては父親の話だぞ?」
「気にならないわけではありませんが、今気にすることでもないでしょう」
ティアは平然とした様子だ。
「今考えるべきことは、魔界の現状のこと――違いますか?」
『今』考えるべきこと、か。
それはつまり――『いずれ』このことを糾弾すると言外に告げているのか、ティア?
俺は彼女を見つめた。
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