9 爆炎公の問いかけ
「死んだだと? 何を言っている? 前王は封印されているだけだ」
俺は淡々と説明した。
「どうして簡単にバレるような嘘つくかなぁ? 魔力を探れば、彼が死んでいることは明らかだよ。僕の魔力探知は魔界一だ。魔力を探れば、すべてが分かる」
ゾルナーダが今度は俺をにらんだ。
「前王が死んだ――いや、殺された理由も、僕にはおおよそ分かっている」
「っ……!」
俺の側でティアが息を飲むのが分かった。
「分かっているなら教えてくれ。封印されているはずの前王が殺されているなら、魔界にとっての大問題だ」
俺はゾルナーダに促した。
言いつつも、内心では動揺を完全に抑えられない。
俺が前の魔王を殺したと分かれば、多くの魔族を敵に回すことになるだろう。
俺のことを現在の魔王として忠誠を誓ってくれている連中も離反するだろうし、おそらくは俺を討伐しに来るだろう。
いくら俺に前王ディルダイアから受け継いだ――いや、強奪した魔力があるとはいえ、魔界中の魔族を敵に回すことになったとしたら、さすがに勝ち目はない。
数の暴力によって確実に殺される――。
「前王が殺された理由を僕から言わせるのかい? 本当に君はそれでいいの?」
ゾルナーダがニヤリと笑う。
こいつ――!
とりあえず奴の思惑として、二つの可能性を考えてみる。
一つは奴が真実を知っている可能性。
俺がディルダイアから魔力を奪い、殺した――。
その事実を糾弾し、おそらくは自分が次の魔王になろうとしているんじゃないだろうか。
そしてもう一つは奴が真実を知らず、鎌をかけている可能性だ。
こっちの場合は俺が下手なことを言えば、ボロを出すだけである。
奴もそれが狙いで、思わせぶりなことだけを言って、俺からの失言を誘っているのかもしれない。
さあ、どっちだ――。
俺はゾルナーダをあらためて見つめた。
ここでの立ち回りで、俺の運命は大きく変わるかもしれない。
「言ってみろ、ゾルナーダ」
俺は彼に促した。
「へえ?」
「さっきも言ったが、前王は封印されているはずだ。もしお前が言うように、何者かが前王を殺害したのだとすれば、その犯人や原因を究明する必要がある」
俺は堂々と言い放った。
「現魔王ディヴァインとして――前王が弑逆されたのであれば、これを断固として許さず、犯人を必ず捕らえて処罰する」
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