8 魔界第二の実力者
ボウッ!
部屋の一点に炎が灯る。
その炎が弾けると、一人の魔族が出現した。
白いコートのような衣装をまとった少年だ。
声の印象そのままに、澄んだ雰囲気を持った赤い髪の美少年だった。
「僕は爆炎公ゾルナーダ。親しい人は『ナーダ』って呼ぶよ」
「ゾルナーダ……?」
聞いたことのない魔族だけど、奴から感じる魔力は尋常じゃない。
あの前魔王ディルダイアに匹敵するかもしれない、すさまじい魔力量だ。
「爆炎公――なぜ、ここに……!?」
隣でティアが青ざめていた。
「……知っているのか?」
「……まさか、知らないのですか?」
ティアがいきなりジト目になった。
「いや、単なる確認だ」
俺は内心で少し焦りつつ、平然とした態度を装った。
「魔界第二の実力者、爆炎公ゾルナーダ様……魔力だけなら、前魔王のディルダイア様をも凌ぐ魔界最強の魔術師です」
ティアが説明する。
「なるほど……」
確かに奴からは異常なまでの魔力を感じる。
さすがに、こいつに対しては気を張らないといけないようだ。
「君が新たな魔王ディヴァインくんだね? 初めまして。ナーダと呼んでくれると嬉しいよ」
ゾルナーダが微笑んだ。
「突然出てきて何の用だ、ゾルナーダ」
俺はニコリともせずに奴を見据える。
「ディルダイアくんはもう少し友好的だったんだけどなぁ。君は攻撃的だね、ディヴァインくん」
「お前が味方なら友好的にするさ。今はまだ敵かどうかも分からない」
「そう言うことなら、僕も友好的な態度は一度引っ込めさせてもらおうかな」
ゾルナーダの顔からふいに笑みが消える。
真顔で俺をまっすぐに見据えてきた。
「君に聞きたいことがあるんだ、ディヴァインくん」
「なんだ、ゾルナーダ」
俺は奴の視線を受け止める。
互いの視線がぶつかり合うと、火花が出ているように錯覚した。
部屋の空気に強烈な緊張感が満ちていく。
微笑を浮かべていた時のゾルナーダは爽やかな美少年といった面持ちだったけど、こうして笑みを消した顔は、まるで武人のように静観で闘志に満ちている。
こっちが――奴の本性なのか?
いつ戦闘になってもおかしくない空気だった。
「前王ディルダイアくんはなぜ死んだんだい?」
ゾルナーダがたずねる。
「自然死か、事故か、あるいは――誰かに殺された、とか?」
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