4 俺とティアマト
宴が終わり、ガーンドゥは去っていった。
「ティア、一ついいか」
「なんなりと」
呼びかけると、ティアが近づいてきた。
「誰もいない場所がいいな。移動しよう」
「――えっ?」
その瞬間、ティアがハッとした顔になった。
頬が赤らんでいる。
「ん? 何か妙な誤解をしてないか?」
「い、いえ、魔王様が夜のお供をご所望なのかと……その、早合点を……」
ティアはますます顔を赤くした。
「お前がそんな冗談を言うとは珍しいな」
「じ、冗談じゃなくて本気です……っ!」
ティアはさらに顔を赤くした。
「男女の事柄には免疫がなく……申し訳ありません。過剰な反応をしてしまいました」
「いや、誤解が解ければそれでいいが……」
まさか、そんな誤解をされるとは思ってもいなかった。
「ガーンドゥの動向を常に把握しておきたい。奴に気づかれないよう、見張りを付けておくことはできるか?」
「……ガーンドゥは戦闘能力だけでなく探知能力も極めて高いので、絶対に気づかれないという保証は難しいです」
「こちらの動きを気づかれるかもしれない、と?」
「はい」
「……なら、それでもいい。奴を見張れ」
俺はティアに言った。
「その程度のことで怒るような奴でもなさそうだ」
宴の席の様子ではガーンドゥが『魔王は元人間だった』なんて触れ回るとは思えないが、念のためだ。
「妙な動きがあれば、すぐに知らせろ」
「承知いたしました」
うなずくティア。
「話はそれだけだ。宴の準備や仕切りなど、本当に助かったよ。お前もよく休んでくれ」
と、ティアをねぎらう。
「ディヴァイン様……」
「お前は俺の右腕だ。倒れられては困る。ちゃんと体を休めるんだぞ。いいな?」
「お優しいのですね」
ティアが微笑む。
「お前は特別だ」
俺も微笑んだ。
すると、彼女の頬がまた赤らんだ。
……まさか今の言葉を妙な意味に受け取ったんじゃないだろうな。
いや、仮に『妙な意味に受け取った』としても、相手が俺ではティアにとっての恋愛対象になどならないだろう。
「……申し訳ありません。動揺してしまいました」
と、ティア。
「少し……酔いが回ったのかもしれませんね」
「なら、なおのこと休め。いや、そうだな……いっそ、明日は一日休暇を与える」
「ディヴァイン様……?」
まだまだティアには働いてもらわなければならない。
俺にとって特別な――手駒。
だから、壊れないように特に念入りに、丁寧に扱わないとな。
少なくとも、俺が復讐を果たすまでは壊れてもらうわけにはいかない。
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