2 歓迎の宴2
「俺が、魔族たちの希望――か」
ティアの言葉は心の底に響いた。
なんだろう、この感じは?
俺にとって魔族など手駒に過ぎない。
目的のために利用するだけの存在に過ぎない。
もちろん目の前にいるティアもそうだ。
なのに――。
ティアに『全員の気持ちに希望が灯った』と言われたときに、俺は確かに喜びを感じていたんだ。
この気持ちは一体なんだ――?
戸惑いを隠せない。
「どうかなさいましたか、ディヴァイン様?」
つい黙ってしまった俺に、ティアが怪訝そうな顔をする。
「……いや、あらためて魔王としての使命と責任の重さをかみしめただけだ。俺はこれからも魔界の支配者として覇道を進む。その先にお前たちが豊かに栄える道もあるはずだ」
「ディヴァイン様――」
「お前にもますます存分に働いてもらうからな、ティア。俺の片腕として」
「魔族たちが栄える世界――それは私の望みであり、同時に父の願いでもありました。あなたがその実現のために邁進するならば、私はこの身を賭して、あなたの力になってみせます――」
ティアが恭しく跪いた。
「頼りにしているぞ、ティア」
「ディヴァイン様……!」
顔を上げた彼女は頬を紅潮させていた。
俺を見つめる瞳が潤んでいるのは感動の涙だろうか。
最初に会ったときに比べれば、ティアは少しずつ俺を信用し始めているのかもしれない。
もちろん気を抜くつもりはない。
今見せている態度も、単なる演技かもしれない。
少なくとも俺への疑念が完全に消えたわけではないだろう。
「……俺にとって急務なのは、まず自軍陣営の立て直し。次に敵対勢力の撃退や掃討だ。その先に、人間どもへの逆襲がある」
俺は淡々とした口調で告げた。
必要以上の熱は込めない。
ただ、やるべきことをやり、まずはこの世界で地盤を固めるところからだ。
その過程でティアが真に信頼のおける配下になればよし。
ならなければならないで、対処の仕方はいくらでもある――。
【読んでくださった方へのお願い】
面白かった、続きが読みたい、と感じた方はブックマークや評価で応援いただけると嬉しいです……!
評価の10ポイントはとても大きいのでぜひお願いします……!
評価の入れ方は、ページ下部にある『ポイントを入れて作者を応援しましょう!』のところにある
☆☆☆☆☆をポチっと押すことで
★★★★★になり評価されます!
未評価の方もお気軽に、ぜひよろしくお願いします~!




