12 S級冒険者たちの今1
SIDE オリヴィア
その日は定例会議だった。
S級冒険者22人が集まり、月に一回、魔王軍残党との戦いなど近況を報告し合っているのだ。
何人かは遠く離れた地にいて、全員集合とはいかないが、広い部屋の中には十数人のS級冒険者が集まっていた。
「あれから一か月経つのね……」
S級2位の冒険者オリヴィアが遠い目で空を見上げた。
金色の髪をツインテールにした美しい女性だ。
年齢は十九歳。
スラリとした長身に革鎧を身に付けて、腰のところに鞭を下げている。
今から一か月前、S級冒険者の一人であるローグ・フレイルを生贄に捧げ、超古代の禁術を使って人間界と魔界をつなぐ扉を閉じた。
同時に魔王を封印し、人間界は魔界の侵攻から解放された。
その後、地上に残る魔王軍の残党をオリヴィアたちは掃討していった。
楽な戦いではなかったが、魔界側は援軍や補給物資もなく時間をかけて戦ううちに、一つ、また一つと魔王軍の部隊を壊滅させていった。
そして一か月――。
今では魔王軍は世界中のどこにも見えない。
生き残りがどこかに潜伏している可能性もあるため、警戒は続けているものの、大規模な侵略はもうないと見ていいだろう。
「ようやく世界に平和が訪れようとしている。そういうことさ」
銀髪に赤い瞳の美しい青年――ソルが言った。
白いローブ姿で三メートル近くもある長大な錫杖を携えている。
S級1位に君臨する青年であり、神々の奇跡を自在に出現させる世界最高の僧侶でもある。
そしてオリヴィアにとっては恋人でもあった。
「あたしたちも平和に暮らせそうね。ねえ、そろそろ将来のことも――」
「だが、まだ油断はできない」
オリヴィアが結婚の話をさりげなく切り出そうとしたところで、ソルがぴしゃりと話題を断ち切った。
(つれないわね……)
「ふふふ、あいかわらず女心の分からない方ですね、君は」
ソルをからかったのは、S級5位の格闘家ザインだった。
長い黒髪に整った容姿。
しなやかな体に黒い道着を身に付けた少年だ。
穏やかな雰囲気だが、ひとたび怒りに火が付くと残忍な性格に早変わりするという。
「む? 女心とは?」
ソルが首をかしげる。」
とぼけたのではなく、本当に意味が解っていないのだ。
能力は全冒険者中で最高だが、女心の理解度に関しては最低の男だった。
とはいえ、そんな彼になんだかんだ惚れているのだが。
「世界に平和? それはまだ早い」
発言したのは老騎士のバッツだった。
禿頭に黒い眼帯、小柄な老人だ。
S級のランクは21位と下から二番目ながら、歴戦の勇士である。
往年の戦闘能力はさすがに衰えているものの、それを補ってあまりある豊富な戦闘経験で、魔王軍との戦いにおいてはオリヴィアたちを何度も救ってくれた。
「『死神』のライシャムの行方が分からなくなっている。おそらくは魔界に侵入し、返り討ちにあった」
ざわっ……。
他のS級冒険者たちがいっせいにざわめいた。
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