1 S級冒険者1
俺の国は、魔族に滅ぼされた。
魔王軍の大侵攻によって、最初に滅んだ国となった。
それが十年前の話だ。
奴らは突然現れ、国中をいっせいに襲った。
あらゆる都市が攻撃され、人は殺され、町並みは破壊された。
両親もそのときに失った。
俺と妹のレイは戦火の中で逃げ惑い、なんとか隣国にたどり着いた。
最初に行きついた町で、たまたま親切な人たちに出会い、俺とレイは育てられた。
それなりに腕っぷしが強く、剣にも自信があった俺は、冒険者稼業を始めた。
学があるわけでもない俺だけど、この仕事なら腕一本でできる。
実力次第では一攫千金だ。
冒険者になった俺は、最初は苦労したものの、徐々に頭角を現していった。
俺の得意戦法は剣と歩法を組み合わせた、高速移動剣術だ。
とにかく勝てそうなモンスターを徹底的に狩り、徐々に実力と経験を積み上げていき、やがて五年もするころにはS級冒険者に上り詰めていた。
『俺って才能があるんじゃないか?』
そのころは、自分自身をそう評していた。
正直、ちょっと調子に乗っていたかもしれない。
難度の高いクエストでも連続で成功していたし、とにかく仕事を重ねるたびに冒険者の評価点が上がっていき、とうとう最高位のS級にまでたどり着けたのだから。
だけど――俺はすぐに思い知ることになった。
A級以下とS級はまったく違うことに。
そう、次元そのものが違うことに。
S級冒険者――そこは化け物の集う場所だったのだ。
S級冒険者たちは年に何度か定例の会合があるという。
といっても、それぞれが多忙なため全員が顔を合わせることは滅多にないようだが――。
ともあれ、俺はその日、S級になって初めての会合に出席した。
場所はとある王国の城だ
「君がローグくんか。歓迎するよ。ようこそ、S級へ」
微笑み交じりに俺を迎えてくれたのは、美しい青年だった。
S級1位、僧侶のソルである。
「ともに神の敵である魔族を討ち滅ぼそう。我が同志、我が友よ」
「は、はあ、どうも……」
初対面でいきなり『我が友』とか言われると戸惑ってしまうな。
でも、俺には友だちがいないから、そう言われると悪い気はしない。
さらに、
「へえ、けっこう可愛い顔してるじゃない。おねーさんが可愛がってあげよう」
悪戯っぽく言いながら近づいてきたのは、俺より二つ年上の美少女、S級2位のオリヴィアだ。
他にも世界最強と称される剣士や魔術師、武闘家など、そうそうたるメンバーがそろっていた。
そのころの俺は、確かにA級冒険者の中ではトップクラスまで行きついていたけど、彼らS級に比べるとさすがに見劣りする感じが否めなかった。
正直、彼らのオーラに圧倒されていた。
「これが……S級か……!」
初めての邂逅は、不安と緊張感しか覚えなかった。
――ほどなくして、初めてのクエストの日が訪れた。
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