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8 魔王VS豪竜ガーンドゥ

 ごがあっ!


 祠が内側から爆発するようにして砕け散った。


 もうもうたる土煙。

 瓦礫の向こうから、巨大なシルエットが現れる。


 稲妻をまとった赤い巨竜――。


「お前がガーンドゥか」

「いかにも」


 赤い竜がうなずいた。


「して、お前は?」

「魔王ディヴァイン」


 俺は奴をまっすぐに見据えた。


「お前を従えるために来た」

「魔王……? ディルダイアに代わって、魔王を名乗るというのか」

「そのディルダイアから魔王の座と力を継いだのが、俺だ」

「……ふむ」


 ガーンドゥがうなった。


 今度は奴が俺をまっすぐに見据える。


「先ほど『力でねじ伏せてやる』と申したな。この我に」

「そう言った」


 俺は全身から魔力のオーラを噴出した。


 黒い炎に似たオーラは、数百メートルの高さにまで舞い上がる。


「ほう……口先だけではなさそうだ」


 うなるガーンドゥ。


「先代魔王ですら、お前を討つことはできず、封印するのが精一杯だったそうだな。なら俺がお前に勝てば、俺の力を証明できる」

「やってみろ」


 ガーンドゥの全身から黄金のオーラが湧き上がった。


 魔力ではない。


【竜気】。


 竜だけが持つ神秘の生命エネルギーだ。


 魔力のように様々な事象を引き起こすことができ、しかも魔法と違って詠唱を必要としない。


 もちろん魔法には魔法の、竜気には竜気の長所があるから、必ずしも魔法が竜気に劣っているとは言えない。


 それでも『詠唱なし』で高威力の攻撃を連発できる【竜気】が恐ろしい能力であることは事実だった。


 それに加え、竜族特有の圧倒的な生命力や竜鱗(バリアスケイル)の絶大な防御力、それに加えて人間や魔族を超える運動能力――。


「あらゆる面で隙がないな……」


 俺は思わずつぶやいた。


 下位や中位ならともかく、これほど高位の竜と戦うのは初めてである。


 俺の『魔王の力』がどこまで通用するか――。


 あるいは、奴を上回ることができるのか。


「いい力試しだ」

「ぬかせ。そして砕けろ――【竜帝爪(りゅうていそう)】」


 ガーンドゥが前脚を振るった。


 奴の四肢は細く、あまり格闘戦に向いているようには見えない。


 だが、その爪から放たれた竜気の斬撃は、


 ざしゅうううううっ……!


 大地を深々と切り裂き、底が見えないほどの亀裂を生み出した。


「ふむ、威嚇には動じんか」


 ガーンドゥが笑う。


「それとも恐怖のあまり動けなかったか?」

「仮に直撃しても、俺の防御魔法なら防ぎきれると確信していただけだ」


 俺はガーンドゥを見据える。


 口ではそう言ったが、果たして本当に防げるだろうか?


 これほどのレベルの相手と戦うのは、初めてだ。


 俺の魔力は本当に通用するのか?

 それとも――。


 ゴクリと息を飲み、俺はガーンドゥと向かい合う。


「ならば、次は当ててみせよう――【竜帝爪】」


 ごうっ!


 黄金の斬撃が今度こそ俺に向かってくる。


 さっきは明らかに直撃コースじゃなかったから逃げようとはしなかったが、今回は違う。


 待ち受けて防ぐか、大きく飛んで逃げるか。


 俺の選択肢はこの二つだ。


 選択を誤れば、あっという間に窮地に追い込まれるだろう。

 それほどのレベルの、強敵だ。


 俺が選ぶのは――。

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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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