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7 封印されしガーンドゥ2

「魔王様、封印地点までの移動手段はどうされますか?」


 アリアンロッドがたずねた。


「飛行魔法を使って空路で行くか、徒歩での陸路か――」


 俺は思案する。


 現状、ガーンドゥの封印は解けかかっており、封印地点に近づく者に対しては迎撃してくることもあるという。


「空路の場合、狙い撃ちにされる危険がある。陸路から行くのが無難だろう」


 俺はそう結論付けた。


「アリアンロッド、人馬形態で俺を乗せて走れるか?」

「もちろんです、魔王様」


 アリアンロッドがうなずいた。


「なら、お前の人馬形態で移動する。ガーンドゥが封印越しに攻撃してくることも考えられるから、警戒を怠らずに進め」

「承知しました」




 俺は人馬形態になったアリアンロッドにまたがり、移動していた。


「魔王様、振り落とされないようにしてくださいね」

「大丈夫だ」


 そう言いつつも、話していると舌を噛みそうなほどの激しい震動だった。


 こういうときティアがいれば、震動を減らすなり、もう少し楽に騎乗できるような補助魔法を使えるかもしれない。

 だが、あいにく俺にはそこまで器用な真似はできない。


 魔王としての絶大な魔力を有しているとはいえ、しょせん魔法の素人だからな。


 とはいえ、いつまでも大味な魔法しか使えない、というのでは今後不便だし、ティアに本格的に魔法を習った方がいいかもしれない。


 ……などと考えているうちに頂上が近づいてきた。


「あれか――」


 前方に巨大な祠が見える。


「祠の中にガーンドゥが封印されているんだな……アリアンロッド、ここででいい下ろしてくれ」

「はい、魔王様」


 アリアンロッドがその場で足を止めた。


 俺は馬上から地面に降りる。


 彼女のおかげで体力も魔力も十分に温存できた。


 あとは俺がガーンドゥを説き伏せるだけだ――。




 俺は人間形態に戻ったアリアンロッドとともに祠の中に入った。


 小さな祠で十数メートルもすくむと、突き当たりになった。

 と、


「何奴!」


 祠の奥から声が響いた。


「この魔力……覚えがある……! 我を封印した忌々しい存在……」

「俺の名はディヴァイン」


 俺は祠に向かって名乗った。


「お前を封印した魔王ディルダイアの後を継ぎ、新たな魔王となった」

「魔王……?」


 声が怪訝そうな響きを帯びた。


「だが、お前の雰囲気は妙だな……本当に魔族か?」

「……!」


 俺は一瞬、息を飲んだ。


 こいつ、まさか俺が元人間だと感づいている……!?


「何を不審がっているのか分からないが、俺は魔族だ」


 動揺を隠し、平然とした態度で答える俺。


「……ふむ。まあ、いい。して、何用か」

「お前を配下に加えたい」


 俺は祠に呼びかけた。


「現在、我が魔王軍は瓦解に近い状態だ。先代が死に、かつて魔王軍に属していた幹部級の魔族は散り散りになってしまった。俺の元にいる幹部はわずか三名――」

「配下? たかが魔族が、竜の王である我を……配下とぬかすか!」


 ごうっ……!


 祠の内部から爆発的な光があふれた。


「ああ、ガーンドゥを刺激してはいけません、魔王様!」


 アリアンロッドが慌てたように言った。


「ガーンドゥは本来、気性の激しい竜です。奴を怒らせれば、ほとばしる竜気で封印が解けてしまう――」

「……早めに言ってほしかった」

「忘れてました」


 アリアンロッドが申し訳なさそうに言った。


「あたし、忘れっぽくて」


 さすがに『怒らせると、それだけで封印が解ける』なんていう重要情報は忘れないでほしかった。


 彼女はしっかりしているようで、意外と天然かもしれないな……。


 などと考えている場合じゃない。


 できれば交渉で奴を配下に加えたかったが、こうなっては仕方がない。


「力でねじ伏せてやる」


 その方が『魔王』らしいかもな。

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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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