6 封印されしガーンドゥ1
ならば、我らの都市を脅かす魔獣を打ち倒していただきたい――。
ジョウビルの言葉に俺は眉を寄せた。
「魔獣、とは?」
「この地には、先代魔王ディルダイア様によって封じられた魔獣がいるのです」
ジョウビルが説明する。
「その封印は年を経るごとに緩み、近いうちに完全に解ける見込みです」
「封印か……先代はその魔獣を討たなかったのか?」
「『討てなかった』のです」
俺の問いにジョウビルが険しい表情になった。
「ディルダイア様の力をもってしても、封印するのが精一杯だったとか――その魔獣を討てるなら、あなた様には魔王級の力があるという証明になりましょう」
「なるほど」
俺はうなずいた。
「分かりやすくていい。引き受けよう」
「魔王様!?」
アリアンロッドが驚いたような声を上げる。
「どうかしたか?」
「……その魔獣は『豪竜ガーンドゥ』です」
彼女の表情はこわばっていた。
「知っているのか?」
「魔界最強を誇る四体の魔獣の一つ――」
アリアンロッドが謳うように告げる。
「五十年ほど前、あたしは先代魔王様であるディルダイア様とともに、そのガーンドゥに挑みました。数万の大軍をもって」
どうやら戦った経験があるらしい。
「結果は惨敗――あたしとディルダイア様以外の魔族は全員殺され、周囲の都市はすべて消滅しました」
「消滅……」
「奴の火炎は存在そのものを消し去ります。あたしは偶然ディルダイア様の側にいて、あの方の防御結界に入ることができたので助かりましたが……そうでなければ、あたしも消し飛ばされていたでしょう」
アリアンロッドは震えていた。
「……怖いのか」
「はい」
俺の問いに、彼女は素直にうなずいた。
「恐ろしいです」
「面白い」
俺は口の端を吊り上げ、笑った。
「魔王様?」
「それほどの豪の者なら、我が魔王軍に加われば、存分に働いてくれるだろう。お前のように」
「ガーンドゥを仲間に引き入れるというのですか!?」
アリアンロッドは驚いた様子だ。
「それは無理かと……」
ジョウビルが首を左右に振る。
「あの豪竜にあるのは破壊本能のみ。近づく者をすべて消滅させ、あらゆる存在を無に帰す――封印されている今は、己に封印を施した者を憎みながら、その破壊本能はさらに増しているかもしれません」
「破壊本能だけの化け物……か」
俺はつぶやいた。
奴は単なるモンスターなのか。
それとも何らかの知性を持ち、交渉が可能な存在なのか。
「まずそれを確かめるとしよう」
「封印の場所を教えてくれ、ジョウビル」
俺はジョウビルに言った。
「あの山の頂上付近に『豪竜ガーンドゥ』の封印があります」
ジョウビルが前方の山を指さした。
「大きな祠がありますので、近くまで行けば分かるかと……」
言いながら、彼は顔を青ざめさせた。
「その……私はあまり近づきたくなくて……」
近づくのも恐ろしいということか。
「申し訳ありません、ディヴァイン殿」
「お前の仕事は建築であって戦闘じゃない。ここからは俺の――魔王の仕事だ」
俺はジョウビルに言った。
「今から封印場所まで行って、ガーンドゥに会ってくるとしよう。アリアンロッド、お前はここに残るか? ガーンドゥが恐ろしいなら無理について来なくてもいい」
実際、足手まといになられるのが一番困る。
「いいえ! あたしも行きます!」
アリアンロッドが強い口調で言った。
「恐怖心を表に出してしまったのは、あたしの不覚。ですが、その恐怖に呑まれるほど、あたしは弱くありません」
「頼もしいな」
俺はニヤリと笑った。
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