2 今後の拠点について
俺は引き続き、ティアと今後のことについて相談していた。
「俺としては複数の選択肢を検討しておきたい。魔王城のことだが……たとえば、別の場所に新たな魔王城を建てるというのはどうなんだ?」
「確かに、それも一つの手ではあります。今後、他の有力者の支配区域に攻め入ったり、あるいは防衛することなど、複数の条件を考慮する必要がありますが……」
「現状の魔王城を使用するメリットはどうだ?」
「地形や気候、魔力や瘴気濃度から考えると、やはりこの場所は拠点として非常に適していると思います」
ティアが意見を述べた。
その辺りの条件が俺にはよく分からないから、彼女の判断は非常に参考になる。
「今の俺には配下自体が少ない。まず魔王としての勢力を整え、地盤を固めることを考えると、今の城を修復し、拠点を構えるのが最善手か」
俺はうなった。
「ならば修復のために建築関係の技術者を集めたいところだ」
「……それについては、残念な報告があります」
ティアの表情が沈んだ。
「先のS級冒険者の襲撃および【天使兵器】の攻撃の余波で、職人街に大きな被害が出たようです。技術者もほとんど死んだようで……」
「魔王城の修復工事は難しいか?」
「はい」
うなずくティア。
「俺が魔法で城を直す、というのはどうだ?」
「建築魔法というのは存在しますが、専門的な知識が必須です。恐れながら魔王様にその知識はないかと……」
「やはり技術者や職人が必要か」
俺は小さく息をついた。
「では、王都以外に職人がいる場所はないのか?」
「そうですね……王都から東に三十キロほど進んだ先に職人の都市があります。そこで城を修復できる者を集ってもいいかもしれません」
「よし、それでいこう」
俺は即断した。
「お前の意見は参考になる。今後も俺に色々と教えてくれ」
「……もちろんです。このティアマト、引き続きあなた様に尽くす所存――」
ティアが恭しく一礼した。
「俺に何か疑念があれば、言ってくれていいんだぞ?」
俺は彼女を見つめた。
「……!」
ティアの表情がわずかにこわばった。
「お前が俺を見る目には、どこか険がある。表面上は礼を尽くしているが、その奥にある感情がにじみ出ているときがある。俺が気づいていないと思ったか?」
俺は眼光を強めた。
いつまでも今のままの関係ではいられない。
もしティアが俺を人間だと疑っていたり、あるいは俺が先代魔王を殺したことに気づいているなら――。
場合によっては処分もやむなし、だ。
こいつの力は惜しいが、俺の寝首を掻くような女なら――。
「私は」
ティアが俺を見つめた。
「……そうですね、あなたを疑っています」
やはり、な。
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