3 魔王VSネクロマンサー1
「その声、まさか……?」
つぶやいた俺に、ライシャムが眉をひそめる。
「ローグ……!?」
おっと、正体が『ローグ・フレイル』だと感づかれたかもしれないな。
俺は『認識を阻害する』魔法を全身に常時まとうようにして、『俺がローグ・フレイルという人間であること』を気づかれないようにしている。
俺はS級冒険者として魔王軍と戦ってきたから、魔王軍の中には俺の顔を知っている者もいるかもしれないからな。
仮面でもかぶれば手っ取り早いのかもしれないが……その辺りはおいおい考えよう。
現状はこの『認識阻害』の魔法だけで十分なので、とりあえず素顔を晒していた。
「俺は魔界の王ディヴァイン」
ライシャムに宣言する俺。
「この俺の領土を土足で荒した罪――万死に値する」
「……ん? やはりローグじゃないか。奴は死んだはずだし、そもそも雰囲気が全然違う……」
ライシャムがつぶやく。
「もっと真面目で、気弱そうな……まあ、いい。魔王、貴様を討つために人間界から来てやったぞ」
傲然と言い放ち、ライシャムは両手を掲げた。
「いでよ、アンデッドたち! 我が敵を葬り去れ!」
ぶおんっ。
うなるような音を立て、周囲の空間が歪む。
そこから100体近いゴーストがいっせいに湧いて出た。
「低級霊召喚か」
「ただの低級霊ではない。私が改造を施した特別製だ。それが100体! いくらお前が魔王でも勝てんぞ」
「なら、試してやる」
俺は右手に魔力を集中させた。
「【魔力の槍】」
青白く輝く槍が出現する。
魔力を槍の形に変化させたのだ。
俺はその槍を一振りした。
穂先が数十メートルもの長さまで伸びていく。
もともと物質ではなく魔力で作った槍のため、自由に形を変えられるのだ。
ざんっ!
超射程となった槍が100体のゴーストをまとめて切り裂いた。
一瞬の後、すべてのゴーストがチリとなって消える。
「ば、馬鹿な、一撃で――」
「ご自慢の改造アンデッド軍団も案外もろかったな」
俺はライシャムに冷ややかな視線を向けた。
「どうした、次の奴を出さないのか?」
「うぐぐぐぐ……」
ライシャムがうなる。
その表情を見て、確信した。
やはり、こいつの繰り出す『改造アンデッド軍団』には限りがある。
いくらアンデッドを高位魔族並の戦闘力に改造できるとはいえ、一度に数千数万体を改造できるなら、すでにこいつ一人で魔王軍を壊滅させているだろう。
「お前が一度に改造して召喚できるのは、せいぜい数百体――それも事前にストックできず、その場での改造しかできない。違うか?」
「っ……!」
ライシャムの顔が青ざめた。
当たらずとも遠からず、だろう。
「数百体程度で、俺の領土を揺るがすことはできない。底が見えたな、『死神』のライシャム――」
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