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16 忠誠を受け取る

「お前の忠誠を受け取ろう、アリアンロッド」


 俺は彼女に言った。


「【麻痺解除】」


 先ほどかけた【麻痺】を解き、アリアンロッドが自由に動けるようにしてやる。


「【人馬解除】」


 アリアンロッドはケンタウロス形態から人型へと戻った。


「普段はその姿なのか?」

「はい。ケンタウロス型になるのは基本的に戦闘時や長距離移動時だけです」


 長距離移動――なるほど、彼女は馬に乗らなくても自前の『馬の脚』で騎馬のように移動できるわけだ。


「ティアマト――」


 アリアンロッドは俺からティアに視線を向けた。


「あなたも魔王様の配下に入っているのね?」

「……そうだ。私は父の――先代のご意志を継いだディヴァイン様の元で、第一の側近を務めている」

「この方を認めた、と? 魔王の娘であるあなたが」

「そう言ったはずだ」


 ティアがアリアンロッドをにらみ、それからチラリと俺を見た。


 一瞬――その目に異様な光が宿ったのを、俺は見逃さなかった。


 なんだ……!?


 まるで、俺に敵意を向けるかのようなギラついた瞳。


 気になるところだが、今はまずアリアンロッドの処遇について決めなければならない。


 俺は魔騎士に向き直り、


「他の配下の反応を探るということは――まだ俺を信じられないということか、アリアンロッド?」

「いえ、ただの確認です」


 アリアンロッドは淡々とした態度で告げた。


「忠誠を誓うと申し上げた言葉に嘘偽りはございません。あなた様のお役に立てれば、それだけで本望です」

「お前にもしかるべき任を与える。存分に役に立ってもらうぞ」


 俺はアリアンロッドにうなずいた。


「それと魔王城にはもう一人、メルディアもいる」

「っ……!」


 アリアンロッドの表情が変わった。


「魔王様、メルディアとは……あの髑髏の騎士のことですか?」

「ああ、知り合いか……っと、お前たちは先代にも仕えているから、全員顔見知りだよな?」

「いえ、幹部を務める魔族は数百もいましたので、中には顔すら知らない者もいます」


 ティアが言った。


「なるほど……」

「メルディア……あいつが魔王様の側にいる……」


 アリアンロッドは眉を険しく寄せていた。


 明らかに不機嫌そうな顔だ。


「先代はあたしよりもメルディアの序列を上にしていました。それがずっと納得いかなかったのです。一対一なら、あたしはあんな女に負けない。ただ、あいつはいつも集団で戦うから……卑怯だと思いませんか!」


 詰め寄るアリアンロッド。


 もしかしたら――というか、おそらく彼女とメルディアはあまり良好な関係ではないんだろう。


「友だちになれとは言わんが、職務に支障をきたさないよう、互いに尊重してくれ。これは魔王としての命令だ」

「……魔王様の仰せとあらば」


 アリアンロッドが恭しく一礼する。


「ぐぬぬ」


 ……やっぱり、ちゃんと命令を聞いてくれないかもしれないな。


「ともあれ――俺たちと一緒に魔王城まで来てくれるか、アリアンロッド」

「承知いたしました」


 アリアンロッドが一礼した。


「……でもメルディアには会いたくないわね。ぶつぶつ……」


 よっぽど馬が合わないのか……?


「ティア、二人を会わせても大丈夫なのか?」


 俺はそっとティアに耳打ちする。


「さあ……先代魔王様のときも二人は険悪でしたから。決闘に及んだことも何度かあります」

「そこまで仲が悪いのか……」

「ただ、戦場になると不思議なほど息が合いますが」


 と、ティア。


「日常においては、なるべく二人を合わせない方がいいでしょう」

「なるほど」


 ただ、さすがに顔合わせくらいはしておいた方がいいだろう。


 俺にとって新たな配下だしな。




 俺はアリアンロッドを伴い、魔王城に帰ってきた。


 俺やティアなら飛行魔法ですぐに戻れるが、アリアンロッドは魔法を使えないため、陸路だ。


 俺とティアはケンタウロス形態になった彼女にまたがり、乗馬の要領で進んだ。


 アリアンロッドは通常の馬よりもはるかに速く、あっという間に魔王城の前まで到着する。




 魔王城は――攻撃を受けていた。




「なんだ……!?」


 無数の火炎や雷撃が城を襲い、爆撃する。


 魔族の気配じゃない。

 あれは、まさか――。


「人間……!?」


 人間たちの軍が、魔王城を襲っているのだ。

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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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