15 アリアンロッド戦、決着
「なら遠慮なく――【突進】!」
スキルを使い、一気に加速するアリアンロッド。
【突進】自体は初級のスキルである。
その名の通り、前方に走るスピードを上昇することで、突進系の攻撃の威力を強化するスキルだ。
だが――、
「速い!」
俺は思わず叫んだ。
周囲の空間がきしみ、衝撃波が発生している。
動きがほとんど視認できないほどの超スピード――。
「【シールド】!」
奴の姿や動きを確認している暇はない。
俺はあてずっぽうで防御結界を作り出した。
ばきんっ。
音がして、アリアンロッドが跳ね飛ばされる。
「へえ、随分と硬い魔法防御ね」
アリアンロッドが驚いたように言った。
「高位魔族の防御魔法ですら、あたしの【突進】なら一撃で貫けるのに。もちろん、防御シールドの向こう側にいる魔族ごと、ね」
「だが俺の防壁は貫けないようだな」
「あら。今のがあたしの全力だと思いましたか?」
アリアンロッドの口元に『にいっ』という笑みが浮かんだ。
「『音速』の【突進】で十分だと思ったのですが、さすがに魔王を名乗るだけのことはありますね。あなたには、あたしの最高速でお相手いたします」
がしゅっ、がしゅっ……。
四本の馬の足が、しきりに地面を蹴っている。
アリアンロッドの顔には自信がみなぎっていた。
「その【シールド】では絶対に防ぎきれません。断言します」
「そうか」
俺はその場にたたずんでいる。
「随分と落ち着いているわね。怖くないの?」
アリアンロッドはわずかに眉を寄せた。
「次の一撃であなたは確実に死ぬ」
「死ぬことは怖くない」
S級たちが俺にした仕打ちが――死への恐怖心を焼き尽くしてしまった。
俺の中にあるのは怒りと復讐心だけだ。
俺を裏切り、殺そうとしたこと。
村のみんなを殺し、妹まで斬殺したこと。
その報いを受けさせるまで――。
恐怖など、感じている暇はない。
「死ぬことが怖くない? へえ……」
アリアンロッドの姿勢が変わった。
上体を前傾させ、同時に、馬部分の後ろ脚二本に筋肉が盛り上がる。
「それが勇気なのか、それとも自暴自棄なのか。そして、あなたは魔王にふさわしい胆力をそなえているのか。そのすべてを――あたしの【突進】で見極める!」
そして、アリアンロッドは【突進】した。
動きが――見えない!?
先ほどはかろうじて視認できたが、今度はまるで何かが光ったようにしか見えなかった。
まさしく光速の動きだ。
ばぢぃっ!
俺の前方で火花が散った。
「あ……が……」
アリアンロッドが倒れる。
「な、何……これ……は……」
呆然とした様子で俺を見上げるアリアンロッド。
「今の【シールド】に【麻痺】を仕込んでおいた。お前は自分から【麻痺】にかかりに行ったんだ」
俺は冷然と彼女を見下ろした。
「お前の速度についていくのは骨が折れるからな。もっと簡単な方法を取らせてもらった」
「あたしの鎧の『魔法防御』を突き破ったというの……!?」
「どんな名工の鎧だろうと、魔王の魔法は防げない」
「ううう……」
アリアンロッドは倒れたまま、動くことができないようだ。
「服従を誓うか、アリアンロッド?」
俺は彼女を見下ろし告げた。
「あたしは……」
アリアンロッドは一瞬悔しげな顔をした後、フッと微笑んだ。
「負けました、魔王様……」
素直に敗北を認め、恭しく告げる。
「今より、このアリアンロッド――魔王ディヴァイン様にこの槍と忠誠を捧げます」
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