9 服従か、死か
ごろり……。
白い髑髏が俺の足元に転がった。
「ぐ……うう……」
「お前の首から下は消滅した。今のお前は無力だ」
俺は髑髏を見下ろし、告げる。
先ほどの一撃でメルディアを完全に消滅させることも当然できた。
だが、こいつの能力は惜しい。
だから俺に服従させるべく、まずは力の差を分からせるような勝利を選んだわけだ。
「お前に残された選択肢は二つ。このまま頭部も消滅し、完全な『無』となるか。それとも俺の配下になるか」
「な、なぜ、我が不滅の体がこうもあっけなく滅ぼされる……」
「それこそが――俺が『魔王の力』を持っているという証明だろう」
「っ……!」
メルディアが絶句する。
仮に奴が人の姿をした魔族だったとしたら、その表情は青ざめ、凍り付いていただろう。
それっきりメルディアは黙りこんだ。
何事かを考えている。
俺は静かに待った。
抵抗するなら、殺す。
だが、もし服従を選ぶなら――。
「魔王様」
メルディアが口を開いた。
どうやら考えをまとめたようだ。
「あなた様の強さは、まさしく『王』にふさわしいもの……このメルディア、武人として感服いたしました……ゆえに我はあなた様に服従し、忠誠を誓います」
屈服したか。
「服従の証として、我が真の姿をお見せします、魔王様」
頭部だけのメルディアが、黒い霧のようなものに覆われる。
その霧が晴れると――そこには一人の少女が現れていた。
金色の髪を長く伸ばした美しい少女だ。
小柄な体に、こちらは髑髏騎士の時と同じデザインの白銀の鎧をまとっている。
「お前がメルディア……か?」
さすがに俺も戸惑った。
「はーい。ボクがメルディアの真の姿でーす」
ひょこっ、と可愛らしく手を上げる少女メルディア。
「キャラまで変わってないか?」
「この姿になると『素』が出ちゃうんですよ、えへへ」
おどろおどろしい髑髏の騎士ではなく、正体を現したメルディアは可愛らしい少女だった。
なんだか拍子抜けしてしまったが、まあ外見などどうでもいい。
「お前の忠誠を受け取ろう、メルディア」
俺は即断した。
たとえ一度は反旗を翻しても、やはり俺には強力な部下が必要だからな。
「ただ、お前が反乱を起こしたことは事実。その贖罪のため、今後は命を懸けて俺に尽くせ。いいな?」
「はーい、わっかりました~! 魔王様みたいな強い魔族にお仕えできるなんて、ボク嬉しいでーす!」
メルディアは笑顔でひょこっと手を挙げたのだった。
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