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第3話

 「モーニングコールしなきゃ」


 カーテンの隙間からまだ弱い陽の光が入る部屋で空は目を覚ました。

 上体を起こし、伸びをして、スマホで時間を確認する。


 「10分前か」


 空の呟きで香織は若干目を開ける。


 「んぁ〜...」

 「まだ寝てていいよ」

 「ぁう...ぅん...」


 香織は右側から空の腰に抱きついて返事をすると二度寝をする。


 「俺より姉さんのが全然かわいいよ」


 空は微笑みながら香織の頭を優しく撫でる。


 2人の呼吸音と鳥の囀りや車の走る音、空がスマホの液晶を触る音が鳴ること10分、空は約束の時間となったため夏海に電話をかける。

 数回のコールの後、寝起き声の夏海が電話に出る。


 『あい...』

 「おはよう夏海」

 『おぁよう....ほめて...』

 「...起きれてえらい」

 『しごといきたくないー...』

 「それなら朝晩4回のエールも無しだね」

 『...準備しよ...』

 「えらいえらい」


 20分ほど通話をしていると空の右側から不満げな気配が漂ってくる。


 「そら!」

 「はいはいなぁに」

 「かまって!」

 『香織起きた?』

 「あぁ。つーわけだから切るわ。今日も一日お仕事がんばってね!」


 夏海の反応を聞かずに通話を切る。


 「かまえ〜!」

 「はいはい。まず顔洗いに行こうね」

 「うん!」


 ベッドから出て、顔を洗いに洗面所に行ってから朝食を食べるためにダイニングへと向かう。


 「じゃあ母さん起こしに行くから」

 「ん」


 空は廊下を進み、恵の寝室へと向かう。


 「かーさーん。起きてー」

 「ん...なに...」

 「起きて。姉さんが朝ごはん作ってるよ」

 「まだねかせて...」


 恵は布団を被り、空は恵を揺さぶって少し声を張る。


 「起きて!」

 「...わかったから」


 パジャマが脱げ、下着姿になっている恵が上体を起こす。


 「はいはいシャツ着て」

 「あついからいや」

 「ならいいや。ちゃんと来てねー」

 「んー」


 空がダイニングに戻ったら抱きしめられた。


 「変なことされてない?!大丈夫?!」

 「大丈夫。変なことされてない」

 「ならいいや!朝ごはん食べちゃお〜」

 「ん」


 2人は席について、朝食を食べ始める。

 香織があーんをしようとしてきたが、空が拒否をして結局やらなかった。

 食べている途中で恵もダイニングへと来て3人で朝食を食べた。


 「おいで〜」

 「はいはい」

 「今日はなにしよ〜」

 「明日は任務あるし今日はゆっくりでいいんじゃない?」

 「じゃあそうしよっか〜」

 「...戦闘服どうしたらいいんだろう」

 「あーたしかに〜。どうする〜?」


 香織がダイニングにいる恵に声をかける。


 「そうね。早苗に依頼しておいて」

 「りょうかーい」


 香織は空の隣でスマホを操作して「制服を渡すときに一緒に渡すって〜」とスマホの画面を見せながら言った。


 「わかった。じゃあ今日は予定無しってことでダラダラしてよっか」


 3人はエアコンの効いたリビングで各々やりたいことをやって過ごした。


 「ただいまー」

 「おかえりー」


 夕方を過ぎたころ、妹のひまりが帰ってきた。


 「写真で見るよりかわいいじゃん」

 「そうだよね!」

 「手洗ってくる」


 茶髪でオレンジ色の瞳の少女、ひまりは一度リビングに顔を出してから荷物を置くために自室へ行き、手を洗ってからまたリビングに戻ってくる。


 「失礼」

 「ん?」


 ひまりは空の髪を耳にかける。それからシャッター音が鳴った。


 「うん。やっぱり姉さんの腕が悪い」

 「えーん!ひまりがいじめる〜!」

 「よしよし」

 「んっふふふ」

 「撮った写真見せてくれよ」

 「ん」


 ひまりはスマホの画面を見せた。

 そこにはテレビを見る空の横顔が写っていた。


 「すっごい美人さんだ〜」

 「あの写真と同じポーズ取ってよ」

 「はいよ」


 空がポーズを取るとひまりはシャッターを切る。


 「うん。笑顔があると完璧」

 「注文の多い妹だ」

 「はいチーズ」


 同じポーズのまま、空は笑顔を浮かべる。


 「照れ顔頂戴。はいチーズ」


 ひまりは空に文句を言われる前に写真を撮る。

 今度も空はひまりの言う通り照れ顔を浮かべた。


 「最高」

 「どーも。なんか奢ってくれたら許す」

 「ハルゲンダッツ2個」

 「許す。明日ね」

 「ん」


 空がふと香織の方に視線を向けると、不満そうな顔をした香織が空の腰に抱きついていた。


 「どうしたの?」

 「私にはあんな顔してくれない!」

 「作った顔でいいの?」

 「作った顔でも〜!」

 「はいはい。ご要望は?」

 「とりあえず笑顔がいいな〜」

 「これでいい?」


 香織を見下ろす空は微笑む。


 「うぐぅ」

 「ふふ、変な声」


 また横からシャッター音が鳴る。反射的に音のなった方に顔を向ける。


 「余所見しないで」


 下から香織の手が伸びてきて、空の頬を掴んで香織の方に顔を向けさせる。


 「余所見しないで」

 「わかったよ」

 「むぅ。私以外の人を見るときは睨んで」

 「なんで?」

 「空の微笑みは私だけのなの!」

 「わかったよ」


 空は仕方ないといった表情で返事をする。


 それから数時間後、2人は並んで座っている。


 「...やっぱ表情作んなくていいよ」

 「わかった。あーほっぺ痛い。てかなんで?」

 「笑ってる空はかわいいけど〜私やっぱいつもの空が好きだな〜って思って〜」

 「そっか」

 「うん。空が笑顔でいられるよーにがんばるね」

 「俺も香織が笑顔でいられるようにがんばるよ」


 並んで座っている2人は柔らかい笑顔を浮かべる。

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