それぞれのレース8
ヒイロ視点
ハイウェイコースを抜け山岳地帯へ向かった、後ろを走っていた後続車は山岳地帯とは別のルートに向かったようだ
山岳地帯に人気がない理由は急勾配の坂と道幅がとても狭く落ちたら死ぬ 標高が高くなるため寒くなり、頂上から火山地帯へ向かうのだが逆に暑くなる
不人気の理由の1つは急激な気温変化があるためだ
「ヒイロ、ヒイロ、高いよ」
「山を登ってるからな」
アクセルをベタ踏みで走っている
「ヴァニラ、坂の先を見てきてくれ」
「ギャウ」
運転席のドアウインドウを開けてヴァニラは飛んでいく、冷たい風が車内に入ってきて寒い
「ヒイロ、寒い」
「コート持ってきてるだろ」
「え、ないけど」
「俺のコートを使え、黒い鞄の中に入ってるぞ」
フェリアは後部座席に置いてある俺の鞄をあさり、黒のコートを見つけて着ている
「温かい」
「今日中に頂上までは無理だな」
俺は寒い場所も走ると思い防寒具を用意しているがフェリアの方は用意していなかったみたいだ
山岳地帯の8合目まで走り、今日は休むことにする
フェリアにはコートを返してもらい、フェリアは寝袋の中に入り芋虫状態になる
「ヒイロ、運んで」
「外で寝袋を着ろよ」
「寒いから嫌よ」
温かいスープとパンで食事を済まし、寝るのだが
「ヒイロ、人肌って温かいと思うの」
「雪山で遭難したら裸で抱き合って暖を取る手段があるな」
「テントの中も寒いでしょ」
「え」
「私、知っているんだから 私と一緒に寝れないの?」
リエッタ、セルフィとは罰ゲームみたいなものだったし、何も手を出していない
マオ、ハクレンはそもそも妹みたいな感じだから手を出すことはない
フェリアは寝袋の中でもぞもぞと動き、服を脱いですでにスタンバイしている 今日の下着はエメラルドグリーンで下着としては珍しい色をしている
「ギャウ」
ついでにヴァニラもフェリアの寝袋に入っている
俺も覚悟を決めて服を脱ぎ捨てフェリアの寝袋へ
「お邪魔しまーす」
「硬いのが当たってる」
「フェリアが美人だから仕方ないだろ」
フェリアと抱き合って寝る。抱き合うことでお互いの肌の温もりで快適な温度で眠ることが出来た。
早めに起床し、着替えて朝食を作る
寝袋から俺が抜けたせいで寒くなってフェリアも目を覚ました。
「ムフフフ」
「どうした、笑顔が気持ち悪いぞ」
「リエッタに自慢できると思って」
「うるさくなるから絶対に自慢するなよ」
朝食という名の昨日の残り物を食べて日が昇っていないうちに頂上まで走らせた。
頂上に着くといいタイミングで日の出を見ることが出来た
「良い日になるわ」
「そうだな」
「ギャア」
火山地帯へと向かった
その頃、リエッタたちは
「右ですわ」
「違います。左です。右はさっきも間違えたでしょ」
樹海コースの自然の迷路で仲違いしていた。
「セルフィ、魔法でコースを調べたらいいですわ」
「リエッタ、私も頭に血が上りすぎていました」
「私もですわ」
「昨日から走り続けていますし休憩しましょう」
「そうでしたわね」
リエッタたちが焦っていたのは順位が現在10位になっていることだ
余裕と調子に乗っていたせいでもあるが
リエッタたちが走っているコースは2番目に不人気のコースで樹海コースは自然の迷路になっており迷う出場者が多いからだ
「リエッタ、今は休みましょう まだ挽回のチャンスはあるはずです」
リエッタたちは仮眠を取ってからまた走り出した。




