ヒイロ 第一王女エミルに会う
メスティア侯爵がドアをノックしてから返事があり、メスティア侯爵に続いて俺たちも中に入った。
中にいたのは銀髪、碧眼の女性でいかにも王女様だったが俺の鑑定にはブラインドのような黒塗りで情報が引き出せない、向こうも俺に気づき驚いたようだ。
「あら、メスティア侯爵なんの用かしら」
「エミル殿下、この度は貴方様に女王になってもらいたい」
「兄上レオニスが黙ってないでしょう」
「レオニス王子の方はこちらでなんとかしましょう そのために彼等を連れて来たのですから」
「そこの人、褒美は何がいいかしら私の夫にしてあげてもよろしくてよ」
向こうも俺のことに勘づいているな、同じ転生者がこうも早く出会うとは思わなかったが
「それは光栄な話ですがすでに妻が2人おりますので遠慮させていただきます。褒美は王都で商店を開きたいので場所の提供をしてもらえるとありがたいです」
当初の目的がこんなことになるとわな
「私が女王になれば提供してあげるわ そこのあなた、顔を見せて頂戴、エルフでしょ」
アリアは外套のフードを取り、素顔を晒した。
「アリアと申します。以後お見知りおきを」
完璧な作法でスカートの裾を摘んで挨拶をした、王族だからか
「アリアさんというのね、私とお友達になってもらえないかしら」
「私のような者が良いのでしょうか」
「エルフのお友達が欲しかったの 貴方、綺麗で可愛いし、食べちゃいたいくらいだわ」
メスティア侯爵が咳払いをしたおかげで、エミル王女は我に戻る。
「侯爵、部屋の外に出て頂戴 彼等と話があるから」
「かしこまりました。ヒイロくん、くれぐれも粗相のないようにね」
メスティア侯爵は部屋を出ていき、エミル王女は部屋に音が漏れないように風魔法を張った。
「貴方、ヒイロだっけ転生者でしょ」
「そうだ、お前もだろ 赤ん坊からの転生か」
「そうよ、そこの2人は貴方の秘密を知っているから残したのよ、私の秘密も知ってしまったからどうしょうかしら」
「今すぐ、殺して逃げてもいいんだぞ、転移魔法があるし」
「冗談よ、転移魔法とかズルくない?」
「いや、普通だろ そろそろ本題に入るぞ、俺たちに何をさせるつもりだ」
「第一王子レオニスの排除、第二王子は私の下に必ず付くわ シスコンなんだから」
排除、排除ね
「完膚なきまでに叩き潰せば、折れるから任せるわ アリアちゃんとアヤメちゃんをたまに借りても良いかしら?」
「アリアだけではなく私の名前も」
「貴方のダーリンに聞いてなかったの?鑑定が使えるから名前はすぐにわかるのよ、ついでに配偶者も」
最近、アリアとアヤメは仲がよくなって呼び捨てで呼び合える関係にまでなっていたな 妻同士仲がいいことは俺も嬉しい
「事前に知らせてもらえればいいかな、何をするんだ?」
「女子会よ」
「お前、前世は女子高生だな」
「な、なんで分かったのよ」
「女子会っていう発想かな、友達としてなら俺の島に来てもいいが時間になれば追い出すし、危害を加えるなら殺すけど」
「あんたの島に興味はあるけど、ここにお米がないし」
「お米なら」
俺はアヤメの口を手で塞ぐ、米はいい交渉材料になるからだ
「米ならある、ただではやらん」
「お米あるの、なんでも言うこと聞くから〜」
チョロいな
「王国を上手く回してくれ、今のままなら帝国に滅ぼされるからな」
「わ、分かったは 米はいつ」
「俺の商店で売り出す予定だ」
「絶対、買うわ」
「交渉成立だな、何かあったときは言うことを聞いてもらうぞ」
「お米のためならいいよ」
「侯爵を呼んであげて、俺たちは第一王子を完膚なきまでに叩き潰すから」
俺たちは部屋の外に出て、侯爵に第一王子を完膚なきまでに叩き潰す話をした。さすがの侯爵も顔を青ざめている。
「エミル殿下、バカ王子はどこにいますか」
「今の時間なら城の裏にある騎士団の訓練場にいると思うからよろしくね」
口調が軽くなりすぎて王女の威厳が何もない、俺たちは騎士団の訓練場に向かった
「主君、あの交渉はよかったのですか まるで傀儡政権に」
「緊急時以外は何もしないよ、今の緊急時は帝国関連の話だね」
「アリア、お友達が増えて良かったな」
「はい、この国では2人目です。」
「アヤメ、女子会はなるべく島の方でやるようにするからアリアのこと頼むぞ」
「はい、ところで女子会とは何でしょうか」
「ヒイロさん、私も気になります。」
「女子会はな、女の子たちだけで食事をしたり遊んだり、寝泊まりすることだよ、俺は参加出来ないからね」
「ヒイロさんがいないのは寂しいですね」
「アヤメがいるし、ルノリア辺り連れて行けば大丈夫だろ」
騎士団の訓練場に着いた、あそこにいる、銀髪のマッチョが第一王子だろう 鑑定結果もただの脳筋だ。




