ヒイロ 風龍王に会う
次の日、アクアと禁足地へ来ていた、今回はアリアがガイアをベビーカーに乗せて付いてきている
「アリア、本当に危ない場所なんだけど」
「ヒイロさんが私とガイアを守ってくれますでしょ、それに水龍王様には挨拶しておきたいですし」
元王族の妻たちは物怖じしないからと言ってもアリアとクリスのことなんだが ララとルルもか
4人で別荘予定地に着いた。
「リバアちゃん、おはよう」
「アクアちゃん、リヴァちゃんよ」
「アリア、俺とアクアは作業に入るから」
「はい、私は水龍王様とお話していますね」
ハイエルフの成長は早い、アクアは0歳でありながら3〜4歳児くらいに成長している
「初めまして、水龍王様 アクアの母 アリアリーゼと申します。」
「これはご丁寧に 私は水龍王リヴァイアサンと申しますわ」
「この度は娘のアクアと契約していただきありがとうございます。」
「いえいえ、私もあの子が気に入りましたので」
昨日の帰り、アクアとリヴァイアサンは召喚の契約をしていた ヒイロはまだ知らないがアリアはアクアの少しの変化に気づいており、今日 ヒイロについて来たのはリヴァイアサンを直接見極めるためだった
「これからアクアのことをよろしくお願いしますね」
「同じ子を持つ親なら心配事も分かりますわ 眷族たちにもちゃんと言っておきますので」
「アクア、その木を魔法で切ってくれ」
「は~い」
アクアはウォーターカッターのような、魔法で木を切り倒した
「アクア、その魔法は人に向けて使わないようにな」
「うん」
魔導具の盾でもスパッと切れるだろう、ダイヤモンドのカットにウォーターカッターを使われるが、アクアの魔法はまさにそれだ 人間なんて瞬殺できる
「あとはお父さんがやるから」
「私もやりたい」
「でも危ないからな」
ヒイロはナタを取り出してアクアに渡す
「おとさん、これ重い」
「アクアにはまだ、早かったな 座って待ってろ 木を切る時に呼ぶから」
「うん」
ナタで枝を切り落とし、風魔法で木を裁断 アイテムボックスに収納 またアクアに魔法で木を切ってからの繰り返し
「アクア、そろそろ戻ろう」
「もう、終わり?」
「お昼ご飯を作るから」
「リューくん、来るね」
「食いしん坊だからな」
俺の中では龍神様は食いしん坊、アクアの中では友達みたいな感じだ
「アリア、ただいま」
「お母さん、ただいま」
「おかえりなさい、昼食を作りますか?」
「よく、分かったな」
「夫婦ですから」
今日作る物は決めているが、あれが足りない 手伝ってもらうか
「リヴァさん、エビかイカが欲しいから獲ってきて欲しい」
「私はアクアちゃんの命令しか聞きませんわ」
アクアに耳打ちをする
「リバアちゃん、おとさんがね エビかイカがないと美味しいご飯が作れないから獲って来てって おとさんのご飯が食べたい」
「アクアちゃん、今すぐ獲って来ますわ」
リヴァさんは海へ向かって走って行った
「アリア、キャベツの千切り、アクアはガイアの面倒を見てくれ」
「うん」
小麦粉と水、卵、キャベツ千切りを打ち込んでかき混ぜる 山芋をすりおろしてまたかき混ぜる
天かすを追加する。多分これだけだと美味しくない、出汁がいるよな〜
「アクアちゃん、これで良い?」
リヴァさんが帰って来たのだが、イカはイカでもクラーケンを獲って来た
「アリア、適当に切ってから塩揉みをして、滑りを取ってから水洗い、平たく切っておいて」
クラーケンを今、食べる部分だけ調理に使い、残りをどうするか
「リヴァさん、食べる?」
「食べませんわ、食べられるのですか?」
ようやく来た、異世界あるある イカやタコは悪魔の生き物で食べれない設定 島の人間は普通に食ってんだよな
「これを干して乾燥させれば酒のあてになるぞ」
「私はお酒を嗜みません、火龍王か土龍王あたりなら好きそうですが」
クラーケンの処理は後に回して、アイテムボックスからバーベキューセット、今回は網ではなく鉄板 熱してから油をひいていく
「ヒイロさん、終わりました。」
「アリア、ありがとう あとはゆっくりしていて」
豚バラ肉を先に焼き、テコで切っていく 生地を豚バラの上に乗せて、アリアが下処理したクラーケンを上に乗せて、しばらく放置 テコでひっくり返してまた焼いていき、全体に火が通ると島で作ったソースとマヨネーズを掛け、かつお節と青のりを掛けて完成
ヒイロはここで気づいてしまった、かつお節から出汁を取ればよかったことに気づいた
「匂いに誘われて来てしまった。」
「リューくん、こんにちは」
「アクアか、こんにちは」
普通に龍神様と挨拶している我が娘は最強なのかも知れない
「ヒイロよ、これはなんという食べ物だ?」
「これは俺のいた世界の関西風お好み焼き、広島風お好み焼きは食べたことがないから作っていた物を再現しただけですよ」
龍神様は小さな手で器用に箸でお好み焼きを切り分けて食べた
「のほぉぉぉぉーーーーー美味い、それにあのクラーケンがこんな食感になるとわ」
「まだ、作れるのでゆっくり味わってください」
龍神様は食いしん坊に見えて食通でもあった。
「リバアちゃん、美味しいよ」
「アクアちゃん、美味しそうなのは分かるんだけどね、クラーケンって恐れられている魔物なのよ」
「ちゃんと食べないと大きくなれないよ」
すでに大きいのだけど、それに契約しているから強制で食べさせられるのは嫌ね 覚悟を決めないと
「って、龍神様?」
「リューくんが美味しいだって、リバアちゃんも食べないと」
リヴァさんは意を決してお好み焼きを食べた
なにこれ、とても美味しいわ それにこのコリコリの食感クセになる これがあのクラーケンなの
「美味しい〜〜」
「アクア、ちゃんと噛んで食べてますか?」
「ちゃんと30回は噛んで食べているよ」
「クラーケンはよく噛んで食べないといけませんよ」
一陣の風が吹き、少年が現れた。
「あれ、いい匂いに誘われて来たら龍神様にリヴァイアサンがいる それに人間にハイエルフ」
「チッ、面倒くさいのが来ましたわ」
「ヒイロ、彼は風龍王リンドヴルムだ」
「俺はヒイロ・ヴェント この地に別荘の建設許可を龍神様に貰い建設中です。ハイエルフが妻のアリア、娘のアクア、息子のガイアです。」
「僕は風龍王リンドヴルム リンとかリンドって呼んでね 龍神様が認めた相手なら気楽に接してくれていいよ」
「お好み焼き、食べますか?」
「え、いいの?食べる」
風龍王リンドヴルムも食事に加わった
「これ、美味しいね」
「ヒイロのカレーは最高だぞ、我も島を出て食べに行くくらいだ」
「そうなんだ、ヒイロ 今度作ってよ」
「機会があれば、それに龍神様にカレー以外の物を食べたいと言われたのでしばらくはカレーの出番はないですよ」
アクアがやって来た
「リンくんはリバアちゃんと仲が悪いの?」
「どうなんだろ、仲は悪くない方かな〜 リバアちゃんね、笑えるーーー」
「うぅぅぅ」
アクアの発音だな、まだ舌足らずだからヴァの発音ができない
「水龍神の加護、龍神様があげたの?」
「とても良い、逸材だった」
「ふ〜ん、ヒイロの家族とはこれからも縁がありそうだね」
昼食が終わり、屋敷の土台を作り始め 今日の作業は終わりになった。
「龍神様、また明日来ますね」
「ヒイロ、ドラゴンたちを連れて来てもいいんだぞ」
「リヴァさんとリンドに合わせて大丈夫ですか?」
「青は大丈夫だと思うが緑だな」
「はい」
龍神様は相変わらず名前ではなく色で呼ぶ
「大丈夫だろ、水龍王はお節介で風龍王は人懐っこい性格だ」
「明日は家族総出で来ますね」
「その方が美味しい料理にありつける」
「そっちかい」
転移魔法で島へ転移して帰った




