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かわいい幼馴染は俺のアレを握らないと安心して眠れないそうです……~俺の〇〇〇は片想いの彼女にとって安眠グッズがわりだと!?~  作者: Kazuchi


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未祐からの人生で一度きりのラブレター。

拓也たくやお兄ちゃんは……。全部読んだんだよね、未祐みゆうの手紙」


 ああ、全部読んだよ、だから俺はこの場所にお前を迎えに来たんだ……。


「あの手紙には未祐のこれまでの想いが詰まっているの、拓也お兄ちゃんへ送る私のの人生で一度きりの恋文ラブレターだから……」


 俺は未祐の言葉の意味をすでに理解していた。あの妹フォルダの中に大切にしまい込まれていたモノは、未祐が俺の妹になったあの日からの出来事を振り返る写真と共に記されていた日記形式の電子アルバムだった……。


 ノートパソコンのアプリが立ち上がるのが遅かったのは、未祐が他の端末で編集したのだろう。さまさまな画像は赤星家の家族アルバムからスキャンした物だと推測した。俺たちの両親は家族アルバムの他にも馴染みの写真館で家族の近影を撮影することを毎年行ってきたんだ。子供のころの俺はその行事が大好きだった。その理由は写真館の帰りにいつもレストランで食事に連れていって貰えるからだ。だけど大人になってみて両親の想いがやっと理解出来るようになった。きっとお互いが子連れで再婚した経緯から俺と未祐に家族の繋がりを再確認させたかったのだろう。


 親の心子知らずとはまさにその通りだ……。


 だから子供時代の写真は家族アルバムを紐解くと如実に分かる。俺が小学五年生で未祐が一つ下のクラス、ちょうど両親が再婚した年からアルバムの写真は一気に増加しているのが何よりの証拠だ。その豊富な家族写真を使って未祐はあの妹フォルダにそっと忍ばせた電子アルバムを作成することが可能だったんだ。妹の想いにも感動してしまって思わず涙を浮かべてしまったが、そのことに加えて俺の胸中で嬉しさが倍増したのは、俺と未祐は家族の愛情に包まれてここまで立派に成長することが出来たからだ。両親への感謝の想いで胸が熱くなった……。


「……お前、いつの間にあんなアルバムを作ったんだ、編集したのは俺のノートパソコンじゃないだろう?」


「へへっ、バレたか……。あの電子アルバムは千穂ちゃんのお家で泊まり込みで編集したの、彼女は、スーパーマーケットうなげやグループのお嬢様だから、お部屋に最新パソコンが一式揃っているからね。あっ、アニメ同好会の自主制作作品のデータのやり取りも広瀬部長とオンラインで制作進行してるんだよ、その合間をぬってアプリの使い方を教えて貰ったの……。千穂ちゃんいわく夢小説の【先孕】も紙媒体は使用していないんだって」


 俺は話を聞いて合点がいった。ここ最近、未祐のお泊りが増えて、少し心配になっていたんだ、友だちの家に遊びに行くと言っていたが、回数が頻繁だったので現役女子高生な未祐が、何かヤバい裏バイトでもしているんじゃないかと妹が可愛いお兄ちゃんは懸念していたんだ……。それは杞憂に終わったな。こんなところにもお宝本の影響が出てしまってまったく恥ずかしい限りだ。


「でも何で、お前は俺のノートパソコンにわざわざ電子アルバムを入れたんだ、俺がすぐに中身を見てしまうと思わなかったのか?」


「……お兄ちゃんは昔からすぐに約束を破る男の子じゃなかったから。あの夏祭りの日に約束してくれたよね、金魚柄の浴衣を誉めてくれて未祐はとっても嬉しかったんだよ!!」


 夏祭りと金魚の柄模様の浴衣。もちろん俺も覚えているよ……。

 

『未祐、もう泣くなよ、お兄ちゃんがこれからも守ってやるから』


『本当!! 約束だよお兄ちゃん、痛いことだけじゃなく怖いことからも全部』


『ああ約束するから心配すんな、なんもかもだ!!』


 神社に向かう長い路地、一歩先を歩く赤い金魚の柄模様の浴衣を着た少女、わたあめの甘さ、あの夏の喧騒が蝉の声と共に鮮やかに蘇ってくる……。


「それにね、未祐はあの日記におまじないを掛けたの。お兄ちゃんが私との約束を守って妹ファイルを見なかったら告白はしないって……。一生私の胸の中にしまい込んでおこうと決めていたんだ」


「……未祐、お前はそれほどまでに俺のことを!?」


「拓也お兄ちゃん、そこから先は言わないで!! お願い……。まだ未祐にはやり残したことがあるんだ。私たち兄妹にとって《《大切な人》》、そう彼女を救えるのはお兄ちゃんしかいないの!!」


 これまで俺が見たことのないほど、感情をむき出しにした未祐の姿がそこにあった。

 叫び声と言うより胸の奥から絞り出すような悲痛な言葉。

 俺たち兄妹にとって大切な人、その名前は……。


「二宮真奈美ちゃん、彼女はまだ悲しみのふちにいるの、愛犬のショコラが亡くなったことも大きな要因だけど、幼いころから優等生であることを強いられて、一人っ子の寂しさも両親に打ち明けられなかった彼女にとって、精神の均衡をギリギリで保ってられたのはショコラと出会ったからなの、幼いころから姉妹同然に育った似た者同士の未祐だから分かるんだ。だって私も真奈美ちゃんと同じ境遇だったから!!」


 未祐の慟哭どうこくのような告白に俺は言葉を失ってしまった……。


 真奈美が不登校になった理由わけ、俺はそのことについてこれまであまり深掘りをしていなかった。ずっと片想いだった幼馴染が俺に急接近してきて例の《《しっぽのアレ》》事件が起きたときも本当は心の中で歓喜していたんじゃないのか!?

 俺のアレを握られて、自制心を保っているていよこしまな目で真奈美のことを見て尊厳を汚してしまったんだ。本当に苦しんでいるのにその気持ちには寄り添ってやれなかったことを俺は深く恥じ入った。いまさら遅いかもしれないが……。


「み、未祐、俺は顔向け出来ないよ。そこまで真奈美のことを考えて行動しているお前の姿を真っすぐに見ることなんて……」


「真奈美ちゃんから《《しっぽ》》の件は全部聞いたわ、あの夜に拓也お兄ちゃんの部屋から聞こえた物音も……」


 終わった……。全身から血の気が引いてくのが分かった。


「……嘘をついた上にあんなとんでもないことを真奈美にしでかしちまった俺を軽蔑するだろ、未祐は」


 ……全てが終わった気分だ。今回は未祐のアニメ同好会のアフレコ台本の架空なシチュエーションではないのだから。


「拓也おにいの馬鹿ぁっ!! 何年私が妹をやっていると思ってるの!? 真奈美ちゃんは全然そんなふうに思ってないよ……。お兄ちゃんとロフトベッドでした行為は決していやらしくなんかないんだ!! 彼女にとって拓也お兄ちゃんの《《しっぽ》》が唯一、立ち直るための希望の細い糸だったんだよ、だからお願い、今晩だけ真奈美ちゃんと一緒に過ごしてあげて……。お兄ちゃんの部屋で、あのロフトベットの中で!!」


 俺はいったいどうすればいいんだろうか、最善の答えを教えてくれ……。



 ※次回、いよいよクライマックス前編に続く!!


 

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