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かわいい幼馴染は俺のアレを握らないと安心して眠れないそうです……~俺の〇〇〇は片想いの彼女にとって安眠グッズがわりだと!?~  作者: Kazuchi


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可愛い妹はもふもふなアレに寄り添ってスヤスヤと眠りたいそうです。そのに

「……ううむ。不肖、広瀬沙織ひろせさおり、武道で初めて背中に土をつけられるとは不徳の極み、それも丸腰の、いや丸裸の殿方に……。なんと無念なことか!!」


 完全に眠った状態で真っ裸のまま、広瀬部長のしなやかな肢体を抱き枕みたいに、だいしゅきホールドの体勢で完全に組み伏せた拓也お兄ちゃんの姿だった……。


「ひ、広瀬部長!? お身体は大丈夫ですか!!」


「ああ、何とかな……。赤星の兄上も私の胸が偶然クッション替わりになって大丈夫だと思うぞ!! これまで私は自分の大きな胸が武道をたしなむ上で邪魔で仕方がなかったんだが、たまには役に立つこともあるんだな。はっはっはっはっは!!」


「広瀬部長ってトランジスタグラマーさんだから♡ 着やせするタイプで千穂、とっても裏山警察うらやまけいさつだよお。おっぱいの取り締まりに緊急出動しちゃいかねないから!!」


 私の隣で森田千穂ちゃんが興奮のあまり童貞殺しの白いセーターに包まれた胸をたゆんたゆんと揺らした。


「駄目だよ!? 今日の千穂ちゃんはあんまり動いちゃ!! の、ノーブラなんだからぁ……」


 耳年増なくせに、天然キャラな千穂ちゃんは計算でやっていないからこれまた恐ろしい、私が男の子だったらドキマキしちゃうよ……。


「そうだぞ森田、赤星のいう通りだ。乳房にゅうぼうは大切にしないとな。気持ちのようにたるんでしまわんよう注意しておけ……」


「はあい、広瀬部長のように素敵な女性を目指して千穂頑張ります!!」


「うむ、素直でよろしい……」


 拓也お兄ちゃんの部屋に先ほどまで漂っていた緊迫した空気が和らいだ。

 自分一人だったらもっと右往左往してしまっていたに違いない。

 大親友の千穂ちゃん。そして頼りがいのある広瀬部長。

 未祐の中で二人の存在はかけがえのないものになってきたのを感じる……。


 はっ!? そういえば拓也お兄ちゃんは間違えてあの赤いカプセルを飲んじゃったままだ……。


「広瀬部長、薬の効果が始まると、お兄ちゃんの身体の一部分が《《硬化》》しちゃうんですよね? それっていったいどうなってしまうんですか? おぼこ娘の意味は千穂ちゃんから聞いたけど……」


「ああ、硬化については話の途中のままだったな……。むむっ!? 何だ、この身体に感じるモノは……」


 突然、広瀬部長の動きが止まった。


 私は二人とのほのぼのしたやり取りで、つい見落としてしまったんだ!!

 拓也お兄ちゃんは広瀬部長の胸に顔をうずめたままの状態だ。だいしゅきホールドは解いているが、まるで赤ちゃんが母親の胸に甘えているようだ。

 眠ったままの拓也お兄ちゃんの表情が至福に包まれているっ!?


 眠っていても身体の感覚はあるそうだ。これは遥か昔からの名残で、眠っているときでも常に外敵の恐怖にさらされていた人類の遺伝子に組み込まれた防衛のためのメカニズムだ。


 きっと拓也お兄ちゃんは皮膚感覚で広瀬部長のたわわな胸のぬくもりを頬いっぱいに感じているに違いない。人間の五感ってすごいな。


 あれっ、広瀬部長の顔がみるみるうちに赤くなって見えるのは未祐の気のせい!?


「くっ!? 私の身体に当たるこの感触は、ま、まずい、森田、赤星!! 緊急事態だ。恐れていたことが始まってしまった……。私の言うとおりに冷静な行動をとってくれ、作戦は急を要する。兄上を震源とする硬化活動はフェーズ・ワンだ。フェーズフォーになったら手遅れになる。まずは私が敵を引き付けているうちに着ぐるみのスタンバイをして欲しい、森田、着ぐるみの再装着に掛かる時間を算出しておいてくれないか」


「はいっ!! 広瀬部長、エアフォースわんこタイプR改に拓也お兄さんの身体が再ドッキングするまでに要する時間はおおよそ八分です。ベビーパウダーの塗布作業に時間が掛かりますので……」


「うむ、無理を言ってすまないが、五分ですべてを終わらせたい、兄上の年齢を鑑みると硬化速度は予想以上に早いと推測する、出来るか!? 森田!!」


「は、はいっ、整備班の名に懸けて間に合わせる所存です」


「……すまないな、森田、お前ばっかりに負担を強いて」


「平気ですよ、広瀬部長、千穂はこの戦いが終わったら故郷に残してきた許嫁いいなずけと結婚式を挙げるんです、こんなことで私が音を上げていたらかっこ悪くて相手に顔向け出来ませんから……」


 い、いったい私はどんな物語の世界線にいるのぉ!? 死亡フラグがびんびん《《タチ》》まくっているんだけど!! 本当に平気なの……。


「赤星、お前にもやってもらいたいことがある……」


「は、はい!? 広瀬部長」


 今度は反対に拓也お兄ちゃんの身体をしっかりと両腕で抱きしめている。いったいなぜなの!! 私は広瀬部長の考えが分からなかった……。


「……前の大戦で私は妹を失った。彼女を守ってやることが出来なかったんだ。なにが帝都軍人だ、大切な家族を守ることも叶わないとは本当にお笑い草だ」


「ひ、広瀬部長……」


「……くっ!? 想像以上に下からの攻撃が激しいな、五分では遅すぎるかもしれん、森田、三分ですべてを終わらせるぞ!!」


「さ、三分って、それはとても無理です!!」


「無理は承知の上だ!! いまの我々はやるしかないんだ。この作戦には赤星未祐の未来が掛かっている、兄上の清らかな純血をまもってやることが我々の責務だ……」


「分かりました、この森田整備兵、ベビーパウダーのパフがたとえ焼ききれても絶対に間に合わせます!!」


「ありがとう、森田。そして赤星、お前は兄上の手を握ってやってくれないか。私は信じているんだ。愛は煩悩になぞ負けないと!! 清らかに光り輝く尊い物なんだ。そしてこれはお前にしか出来ないミッションだ……」


「もしかして広瀬部長はその身をていして……。まさか死ぬつもり!? そんなことは絶対に駄目です!!」 


「心配するな、私は死なんよ……。お前はどこか面影が亡くなった妹に似ている、そんな赤星に悲しい想いはさせられないからな。それに私がいなくなったら、ひよっこのお前を誰が指導するんだ。アニメ同好会の晴れ舞台、君更津きみさらず南女子校の文化祭での自主制作アニメの上映を観るまではくたばるわけにもいかないからな!! きっと天国の妹もそんな私のわがままを許してくれると思いたい……」


「……わ、私は広瀬部長と同じ時代に生きられたことを誇りに思います、どうかご無事で」


 広瀬部長は拓也お兄ちゃんにまわした両方の腕による身体拘束を解かぬまま、私にむかって片目をつぶってみせた……。


今生こんじょうの別れではないぞ、赤星、涙は兄上のために取っておけ。いい女の子になるのだな……」


「広瀬部長!! エアフォースわんこタイプR改の着ぐるみ、スタンバイ完了です……」


 森田整備兵の声が六畳間の戦場に響き渡った……。


「よし、オペレーション名、わんこの《《しっぽ》》を開始する。ドッキング準備!! 各員、兄上の接続成功の確認後、我がアニメ同好会のもう一つの目的であるわんこの着ぐるみを使った男女の四十八手の模擬演習に移行する、ただし交接する兵士の着衣、その脱衣行為は固く禁止する」


 カオス渦巻くこの部屋の中心で、はたして私は拓也お兄ちゃんの純血を守ることが出来るのだろうか……!?



 次回に続く。


 


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