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私に出来る事は、世界平和規定に基づき、速やかで具体的な支援を勝ち取る事だけだった。
女の身で何が出来ると侮られたが、規定と支援に対する恩恵の交渉を進める内、支援の輪が広がっていった。
私に武は無い。秀でた才も無い。しかし国には肥沃な大地と、魅力溢れた鉱山と、優れた学問と、清潔な水、豊かな産業があった。
交渉のカードはいくらでもある。
この戦が終われば、勇猛な軍事力さえもあるのだ。
世界規定連合が大国と北側の国に対し、強力な圧力をかけた。たった二国連合では到底敵わない圧倒的な圧力だった。
実力行使を前に、二国は屈したのだった。
終戦の報せがあった。
けれどあなたの行方はわからなかった。
私はその報を母国で受けた。
私は何故ここにいるのだろう。
足元が崩れていく気がした。




