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政略結婚をしたあなたと私。
特段美しい訳でも無く、特筆して秀でたところがある訳でもない、存在すら忘れられがちな第六皇女の私は、あなたの国に人質同然で嫁いだ。
魔法など異世界要素はありませんが、架空設定の世界感ですので、ジャンルは異世界恋愛としました。国名や人名、容姿描写は一切出ません。
フワッとした内容ですが、皆様のご想像を頼りにお読み頂けると助かります。
会話は少な目で、主人公のモノローグで物語は進みます。
「あなたは私に何をお望みですか。」
「全てだ。
君の持つ財を。地位を。家族を。身体を。……そして愛を。その全てを私に捧げよ。
私は君に、大いなる遺産と、確固たる地位と、新たな家族と、そして永遠なる愛を返そう。
ただ、首だけは捧げられない。この首はいつかこの国が滅ぶ時、相手へと贈る最期の品だからだ。」
「あなたに全てを捧げましょう。来たるべきその日まで。その日までは、あなたの全てが私のものであること、努努お忘れ無きよう。お誓いくださいますか。」
「来たるべきその日まで、誓おう。」
あなたはそう言ったのに。
なのに何故、私はここにいるの。




