入学式1
「行ってきます!」
僕は元気よく玄関のドアを開け学校に向かった
今日は入学式で女の子としては初めての学校で少し緊張していた
まあ学校までの道は昨日の下見で覚えたし徒歩で行けそう
分からなくなったら誰かに聞くんだよ?って言われたけどそこまで子供でもないよ
「昨日は眠くて気づかなかったけどこの家スゴイ大きいな」
ちょうど学校と家の真ん中辺りにけっこう大きい家が立っていた
ずっとその家を見ていたら不意に風が吹いた
その瞬間反射的にスカートを抑えた
さっきから弱い風でもスカートを抑えてしまう
抑えていたら後ろから肩を叩かれた
「そんなに抑えなくてもそんな簡単にめくれないから大丈夫だよ」
話しかけたきたのは僕と同じ制服の女の子だった
とても可愛かった新入生だろうか?
ただ誰かに似ている気がする
「こんにちは!多分私と同じ新入生だよね?私は長島ながしま 藍那あいなっていいます!あなたの名前は?」
スゴイ活発的な子だなーと思いながら僕も自己紹介をした
「あ、新崎 友理といいます…同じ新入生だとおもうよ。…ん?長島?」
僕はピンときた誰かに似てると思っていた、そして苗字が長島…もしかして
僕が話そうとしたとき彼女が顔をパァっと明るくして話し出した
「もしかして新崎さんって昨日お姉ちゃんに会った女の子?」
それを聞いて僕は確信に変わり
「え、お姉ちゃんってやっぱり…昨日会った先生の妹さん?」
彼女はうんうんと頷いた
そして僕の肩を掴んできた
「そうそう!私のお姉ちゃん学校の先生なの!お姉ちゃんが昨日あなたと同じ高校に入学してくる新崎さんっていう可愛い女の子と会ったよって言ってたけど本当可愛いね!」
僕はまた照れて赤くなってしまった
男の子の時そんな褒められたことがないからそういうのにはまだ慣れることができない
僕が照れてるが彼女はニコニコしていた
「ねえ、あのさ良かったら友理って呼んでいい?」
「え、うんいいよ」
彼女は途端に嬉しそうな顔をした
その顔がすごく可愛くて僕もニッコリしていた
それを見た彼女は少し照れたような顔になり
「ヤバイ、友理って本当にかわいいね。あ、私のことは藍那でいいよ!」
「じゃあ…藍那でいいかな?」
藍那はまた嬉しそうに頷いた
藍那は僕のこと可愛いって言ってくれるけど藍那のが僕は可愛いと思った
目はスゴイキラキラしてるしお姉さんに似てるとこもありお姉さんが可愛いから妹もスゴイ可愛くてまさに美人姉妹って言えるくらいだった
藍那は僕の顔を見て
「ねえ友理ってモテてたでしょ?」
「全然だよー告白されたことないし告白したことはあったけど振られちゃったもん」
因みに女の子としては本当に告白されたこともしたこともない
そもそもそんな余裕なかったし、男の子の時はまあ振られたし
でも元男の子なんて言えないよね
「うそー!?こんな可愛い子振るなんて贅沢すぎ!絶対その人後悔してるなー」
まあもし振ってなかったらある意味後悔してたかもだけどね
それにそれこそ藍那はこの可愛さだしモテてたんだろうなーって思った
「藍那も可愛いからモテてたでしょ?」
藍那は首を振った
「全然!好きな子はいなかったし告白されなかったからモテてなかったよ」
「えー?本当に?」
「本当だよー!」
女の子のコイバナってこんな感じなんだろうなーって思って少し新鮮な気分を感じた
でも登校中に話せる人が出来て良かったかも
少し人見知りが入ってるからなかなか自分から話しかけることが出来ないんだよね
中学の時も誰にも話しかけられなかったから1週間くらい普通の人なら友達ができてもおかしくない期間だけどね
話してる内に学校に着いた
学校内では色々な部活の勧誘がやっている
「そこのあなた達!」
いきなり僕たちの前に3年生であろう女子生徒が現れた
藍那は挨拶したが僕はビックリして藍那の腕を掴んでいた
「あ、ごめんなさいビックリさせるつもりはなかったの」
女子生徒は申し訳なさそうにして苦笑いをした
そして僕たちに多分部活の内容が書かれている紙を渡してきた
「私達チアリーディング部といって主にスポーツ系の部活を応援するのが目的なの。あなた達スゴイ可愛いから是非入ってもらいたいんだけど…」
僕はどう答えていいか分からなかった
僕が困っていると藍那が代わりに答えてくれた
「すいません、お誘いは嬉しいんですけど私達まだこの高校をよく分からなくて色々知りたいので今すぐ決めることは出来ないんですけどいいですか?」
藍那は上手くやんわり断って僕はその藍那の対応に上手だなーって感心していた
女子生徒は僕と藍那を両方見て優しく微笑んだ
「そうね、ごめんなさいねいきなり。スゴイ可愛いかったから他の部活に取られたくなくて、気が向いたら遊びに来ていいからね」
そう言って女子生徒は部員であろう人達とまた他の生徒への勧誘を行っていた
「藍那ありがとう。僕こういうのの対応が苦手で」
「全然いいよ。友理が困ってるの目に見えて分かってたし。後友理自分のこと僕っていうんだね」
あ、つい男の子頃からの癖で今まで気づかなかったけどやっぱり私って言った方がいいんだろうか?
そもそも女の子になってから家族は僕って言ってたことをまるで気にしてなかったけど
「変かな?女なのに私じゃなくて僕っていうの」
「全然変じゃないよ!むしろ友理が言うと可愛い」
そう言って藍那は僕のことをぎゅっと抱きしめた
反射的に体が固くなり藍那は僕から離れた
「ごめん嫌だった?」
藍那は心配そうに僕の顔を覗き込む
「違うの、あんまり抱きしめられたりするの慣れてなくて」
藍那はホッとしたように胸を撫で下ろして何かに気付いたように僕のある部分に視線が集中した
「今抱きしめて思ったんだけど友理って胸大きいね何カップあるの?」
「えぇ!?」
僕はまさか胸の話になるとは思ってなくてビックリした
お母さんが変だと思ってたけどやっぱり普通の女の子でも人の胸は気になるんだろうか
「Eだよ…」
藍那は自分の胸を触った後僕の胸を触った
「ちょっと藍那!?」
忍者のごとく藍那からサッと離れる僕を見て藍那は顔の前に手を合わせて謝った
「あ、ごめんね!つい大きいから触ってみたくて」
やっぱりお母さんがおかしいんじゃないんだね
女の子はみんな胸は触りたいんだね
僕も女の子なんだけど
藍那は誤魔化すように僕の手を取り
「ね、クラス分けの紙が貼ってあるから見に行こ!
」
僕は大変なことに気付いた藍那と仲良くなれたけど藍那と同じクラスになれる確証はない
僕が心配そうな顔をしていると察したのか藍那が僕の肩を叩いた
「安心して、お姉ちゃんから聞いてて私と友理同じクラスだから」
それを聞いてスゴイ安心した
もし藍那と離れてたらまた友達をなかなか作れそうにないからだ
僕は藍那と一緒にクラスの中に入っていった