新たな家、新たな生活
ピピピピっ
僕は昨日セットして置いた目覚ましの音で目が覚めた
背中に温もりを感じる…そうだ昨日は寂しくてアキラと一緒に寝たんだった
アキラを起こそうと体を上げようとしたら
(むに)
何が僕の胸に触れた、胸に触れていたのはアキラの手だった
僕はアキラの手を外した後軽くデコピンをした
「いて、」
僕のデコピンでアキラは目を覚ます
「あ、姉ちゃんおはよう」
「アキラおはよう」
アキラは僕に挨拶したあとおでこを触りなんか痛かったなーって呟いて僕の部屋を後にした
僕も部屋を出て先に起きててリビングにいる両親の元に行った
「お母さん、お父さんおはよう」
「友理おはよう」
お母さんとお父さんは同時に挨拶を返してから引越しすまでの時間をのんびりとしていた
僕は朝ご飯を食べた後身だしなみを揃えに洗面所に向かう
洗面所の鏡に映る女の子は可愛い顔で眠そうにしていた
「一応女の子になってから1日は過ぎたけどやっぱり慣れないなぁ」
鏡に映っている女の子にそう呟いた後は自分の部屋に行き最終準備を済ませて自分の部屋を見回した
今唯一自分が男の子だったという証拠が残っている部屋
それも後数時間でお別れだと思うとまた泣きそうになってくる
泣きそうになってると今度はアキラではなくお父さんが訪ねてきた
「友理、着替え中じゃないなら入るぞ?」
「着替えてないから大丈夫だよ」
その言葉を聞きお父さんは僕の部屋に入ってくる
お父さんは僕の部屋を見回していた
「友理、お前この部屋と別れるということは自分が男の子だったという証拠がなくなるって思ってるんじゃないか?」
僕はギクっとした。お父さんは僕が髪切ったことや姿を変わったことにはあまり気付かないのにこういうときの心情はやけに敏感なのだ
「うん」
僕は頷いた。そしたらお父さんは僕の頭に手をポンポンとして
「友理、例えこの部屋がなくなってもお前の過去は消えるわけじゃない、お前が男の子だったということはお父さんやお母さんそしてアキラも知ってるんだぞ?」
僕はお父さんの言葉を聞き泣きそうになっていた目のダムが崩壊したように涙が流れた
お父さんは泣いている僕を優しく抱き締めた
「お父さん達が一緒な限りお前の過去は消えないしそれにお前が生きてる限り過去は消して消えないよ」
そうだよね。僕が生きている限り男の子だった僕はきえない
僕は少し元気が出た
「お父さんありがとう。元気出たよ」
「そ、そうか!そしたら今日は久々にお父さんとおふ…」
「ごめんやだ」
僕は食い気味にお風呂の誘いを断った
お父さんは少ししょんぼりしてたけど普通に考えたら当たり前だよ
心はまだ男の子が残っていても体は女の子なんだから
そして準備も済んで新しい家にひっこしていった
数時間後僕たち家族は無事に新しい家に着いた
新しい家は前の家より少し大きく当たり前だけど新品だった
「お母さん、新しい家スゴイ綺麗だね」
僕は大きく綺麗な家に少し興奮していた
そんな僕を見てお母さんは家から少し離れてて屋上しか見えてない建物を指差した
「友理あそこにあるのが新しく行く高校よ」
屋上しか見えないがなんとなく結構いい感じの学校の雰囲気を感じ取れた
高校を見ていた僕とお母さんに対して家の中からお父さんがあらわれて
「友理、母さん。少し手伝ってくれ」
「あ、はーい」
僕とお母さんは同時に返事をして家の中に入っていった
家の中は木造建築の2階建てで下はリビングやキッチンなどで2階は僕とアキラの部屋が出来る予定になっている
家族全員で手伝ったので1階は比較的早く終わり次は僕とアキラの部屋を作ることに
お父さんがレディーファーストとか言って僕の部屋を先に作ってくれるみたい
「お父さん、机とか重い物は任せるけど衣類は僕が運ぶよ」
「そうか?お父さん友理の為なら全部やってあげるぞ?」
いままあ全部やってくれるのはありがたいんだけどね?
でも女の子になったってことはアレがあるし心はまだ男の子が少し残ってるけどやっぱりお母さんにならともかくお父さんとアキラに見られるのはちょっと
お父さんは恥ずかしがってる僕を見て何が恥ずかしいのか分かっていなかった
見かねたお母さんがお父さんの頭にチョップを入れた
「いた!母さんいきなりチョップはないだろ」
「お父さん、友理は年頃の女の子よ?まだ男の子が残ってるかもだけどお父さんに見られたくないものがあるでしょ?」
お父さんはやっと分かったような顔をした
「そ、そうだったな。友理はもう娘だから色々気をつけないと」
こうしてお父さんは机など重い物、僕は衣類などを運び僕の部屋は完成した
部屋を見たお母さんがヘェ〜と呟いていて僕はそれが気になった
「お母さんどうしたの?」
「いやね、あなた自覚ないんだろうど前より部屋が女の子らしくなったなーって」
お母さんの指摘に驚いた
僕は部屋の模様替えの時これはこことか自分の希望通りにやっていたんだけどまさか女の子らしくなっているとは
やっぱり紅茶も件もそうだったけど、だんだん女の子らしくなってきてるのだろうか
「自分で消してるなー」
そして全ての作業が終わってようやく一息
くつろいでいたらお母さんから提案が出た
「ねえ友理、アキラ今日はもう遅いから明日3人で学校の下見とここら辺を探検しない?」
「いいよ」
「行こう!」
僕とアキラは即答でオッケーした
街を知らないと怖いしなにより新しい学校はスゴイ気になっていた
女の子として入学するって思ってからちょっと不安だったから
そしてご飯も食べ終わり部屋でくつろいでいると携帯が鳴った
ドキッとした電話だったらどうしよう?
今は女の子で声違うのにという不安は一瞬にしてかき消された
メールだった
送り主は中学校の友達から
「いずれ友達にも言わなきゃいけないのかな」
生きていれば必ずまた会うことになるし連絡も知ってる
「まあ今はこれからの学校のことを考えよう」
僕は携帯を閉じて明日の為に寝るのであった