第8話 若者よ青春を謳歌せよ
更新スピードがメチャクチャ早いです。
GWですからね〜。
というわけではありませんが。
宿題を終わらせた俺達は再び音楽の練習を行なう。
その中でもSteraは違った。
「実はな……そろそろライブをしたい」
「「「え?」」」
俺達はSteraの突拍子も無い発言に驚いた。
「驚くことでもないだろう?俺達はバンドを組んだ。ということはライブも行なうということだぞ」
「それは確かに……」
俺はあまり気が進まない。
理由は知ってのとおり。俺の実力不足。
「で、ライブに何の曲をやるか……ということなんだが」
「オリジナルにするかコピーをするか、だろ?」
俊哉がSteraに言う。
「ああ。俺はソロ活動時代に何曲か作曲作詞をした」
Steraは俺達にそれらの曲の楽譜を見せた。
「ふ〜ん……」
俺達はそれを見た。
「あ、これ知ってる」
はなびが言う。
「私この曲結構好きだよ」
「そうか。ありがとな」
Steraがそう言う。
そういえばこいつって女なんだよな……
「で、そこでなんだが。時間が無いからこの曲を演奏したいと思う」
「へ?」
「嫌なら別にいいんだが……」
Steraが少し遠慮する。
「いや、これでいこう」
俺の言葉にはなびと俊哉が頷いた。
「でもドラムはもう少し簡単にしてね」
「分かってるよ」
「ははっ」
かくしてライブの日程はまだ決まっていないものの、俺達のライブに向けての活動が始まった。
「ところでさ、Steraってベース持つとどうなるの?」
「え?」
俺の発言にはなびは首をかしげる。
そしてSteraは無言のままだ。
「試してみない?」
「いや、遠慮する」
「どういうこと?」
俺の発言の真意が分からないはなびは俺に質問をする。
「実はSteraってさ、ギターの種類によって人格が変わるんだぜ!」
「……」
はなびが黙り込む。
「え!?信じてない!?」
「普通は信じないでしょ!」
そういえば確かに信じにくい話だよな……
「いやでも本当なんだよ。公園でお前も会った少年がいるだろ?」
「アコギの少年?」
「そうそう!」
はなびも覚えていてくれたようだ。
「あの少年はSteraだったんだよ!」
「ええ!?でも確かに似ていたかも……」
はなびは考え込む。
「だからベース持ってみてよ!」
「ええい!人の体で実験するな!」
Steraが俺から距離を取る。
「何でそんなに嫌がるんだよ!」
「当たり前だ!セクハラで訴えるぞ!」
「ああずるい!こういうときだけ女の子ぶる!」
俺とSteraがくだらないことで言い争いをしていると俊哉がそれを遮った。
「まあまあお前ら。俺の家に来ないか?」
「俊哉の?まさか!」
「ああ」
俊哉が頷く。
「あそこなら広いし音響施設も完璧のはずだ。俺が昔レッスンしていたこともあったからな」
「へえ……」
俺達は俊哉を見た。
でも確か俊哉って自分の家があんまり好きじゃなかったような……
「お前……いいのか?」
「当たり前だろ。いつまでもこんな狭い部屋で練習なんて出来ないだろ!」
「言ったな!コノヤロー!」
俊哉はすごくいい奴だ。
俺は本気でそう思った。
「で、いつ行くんだ?」
Steraが俊哉に尋ねる。
「今からでもいいぞ。連絡はしておいた」
「サンキュー」
こうして俺とはなびは2回目、Steraは始めての橘家訪問になった。
「は?」
俊哉の家に着いたときのSteraの反応です。
「お前大金持ちだったのかよ!」
「……いや」
俊哉は少し複雑そうに微笑んだ。
「まあいいや。入ろうぜ」
俺達は俊哉の家に入った。
「お帰りなさい俊哉様。準備は出来ております。お客様もこちらへ」
俺達は橘家のメイドの桜子さんに連れられて例の部屋に入った。
「うわあ……」
「広いし!無料だし!最高の設備だな!」
Steraが絶叫する。
「ここなら安心できるわね」
はなびもホッとしたらしい。
「ていうかはなび人前で歌えるのか?」
「そ、そりゃあ……多分……」
「こればかりは慣れだよ。とにかく場数踏むしかない」
Steraがそう言った。
「じゃ早速練習しようぜ」
俺はみんなにそう言って音合わせを始めた。
「カイ、そこもう少し早く」
「これくらい?」
案の定俺はSteraに注意されまくった。
Steraの曲なので、Steraはほぼ完璧。
はなびと俊哉もそれなりに出来ているのだが、俺だけかなり足を引っ張っている。
「ゴメン。みんなもう一度」
そんな俺にみんな文句を言わずに付き合ってくれている。
それも何だか複雑。
「1・2・3・4!」
そしてリーダーの俺が掛け声をかけてもう一度曲をスタートさせる。
Steraのギターが奏でる。
はなびの声が響く。
「カイ、その部分はもう少し強くしてくれ。サビの前だから盛り上がりに欠ける」
「そ、そうか……スマン」
俺のミスのせいで中々上手く運ばない。
もうすぐ夏休みも終わってしまうので焦る気持ちもある。
最低でも学校が始まるまでには何とかしたい。
生徒会もあるし文化祭もあるし。
「仕方ないだろ。この中じゃ一番経験不足なんだからよ」
俊哉が俺を慰める。
それでも俺の心は晴れなかった。
「少し休憩しない?」
はなびがそう言った。
「……分かった。だがこのままのペースじゃ……」
「分かってる。俺も早く上達するように頑張るから」
Steraの苦言に俺が返す。
たまには苦言を呈してくれた方がよい。
そうじゃないと心が折れそうになる。
「よし。じゃあ30分ぐらい休憩を取ろう」
Steraが言った。
そして俺達は肩の力を抜いたのだった。
「じゃあね」
「ああ」
その日の夜、最後にはなびと別れた俺は一人で帰り道を歩いていた。
下を向きながら。
まあ少し落ち込んでいる。
理由は言わずもがな……
みんな気遣ってくれているが、心が晴れるわけが無い。
「はぁ……」
「どうしたの?」
「え?」
何か前から聞き覚えのある声が聞こえた。
俺はその声のするほうへと目を向けた。
「久しぶりねカイ」
「!」
俺の前に現れた少女は俺がよく知っている女の子。
「咲……」
そう、俺の幼馴染兼元カノの少女……
美作 咲だった。
一気に更新行きますよ〜。